Wi-Fi 6E/7(6GHz帯 )におけるSPモード(Standard Power:標準電力モード)は、従来のLPI(Low Power Indoor:低電力屋内用)よりも強力な電波を発信できるモードです。
これを実現するために不可欠なのが、AFC(Automated Frequency Control:自動周波数制御)システムです。なぜこのシステムが必要なのか、その仕組みと役割を解説します。
1. なぜAFCが必要なのか?
6 GHz帯は、Wi-Fi専用の帯域ではありません。以前から固定無線(放送中継や通信キャリアのバックホール)や衛星通信などの「免許局」が利用しています。
干渉の懸念: SPモードのWi-Fiルーターは電波が強いため、屋外や窓際で使用すると、既存の免許局に有害な電波干渉を与えてしまう恐れがあります。
AFCの役割: Wi-Fiルーターが「今、この場所で、どのチャンネルなら既存局に邪魔をせずに最大出力で出せるか」をリアルタイムで判断させるためのデータベース・システムです。
2. AFCシステムの動作フロー
SPモード対応のアクセスポイント(AP)は、運用を開始する前に必ずAFCサーバーと通信を行います。
位置情報の取得: APは自身のGPS等を利用して、緯度・経度・高度などの正確な位置情報を取得します。
問い合わせ: APはAFCサーバーに対し、「私の場所で使えるチャンネルと最大許容電力」を問い合わせます。
計算と回答: AFCサーバーは、登録されている既存免許局のデータベースと照合し、干渉計算(伝搬シミュレーション)を行います。
計算には、地形データや建物の遮蔽、既存局のアンプの向きなどが考慮されます。
運用の開始: サーバーから許可された「利用可能なチャンネルリスト」と「最大送信電力」の範囲内で、APは初めてSPモードでの通信を開始できます。
3. SPモードとLPIモードの比較
AFCが必要なSPモードと、不要なLPIモードでは以下のような性能差があります。
項目 | LPI (Low Power Indoor) | SP (Standard Power) |
設置場所 | 屋内限定 | 屋内・屋外の両方 |
最大送信電力 | 低い(例: 5 dBm/MHz) | 高い(例: 23 dBm/MHz) |
AFCの要否 | 不要(常に低電力のため) | 必須 |
主な用途 | 一般家庭、小規模オフィス | スタジアム、広域キャンパス、公衆無線LAN |
4. 日本における動向
日本では、6 GHz帯の開放当初はLPIとVLP(Very Low Power:超低電力、ポータブル機器用)のみが認められていました。
しかし、2024年以降の制度整備により、SPモードおよびAFCの導入に向けた議論が加速しています。これにより、屋外での高速なWi-Fi 7利用や、イベント会場での大容量通信が期待されています。
ポイント: 6 GHz帯のSPモードは、単なる「強いWi-Fi」ではなく、「既存の重要通信と共存するための高度なソフトウェア制御」によって支えられているのが特徴です。
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