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コヒーレント光トランシーバー デジタルコヒーレント技術

GLOSSARY

コヒーレント光トランシーバーは、デジタルコヒーレント技術を採用した高度な光通信デバイスであり、光の基本的な性質である振幅、位相、偏波のすべてを使って情報をエンコード(変調)し、高感度で受信(検波)することで、長距離・大容量のデータ伝送を可能にします。

現代のネットワークの基盤として、インターネットトラフィックの爆発的な増加に対応するために不可欠な技術となっています。


デジタルコヒーレント技術の概要

デジタルコヒーレント技術は、従来の光通信(光の強弱で信号を送る)と異なり、コヒーレント検波と高速デジタル信号処理(DSP)を組み合わせたものです。

1. コヒーレント検波

受信側で、受信した信号光と局発光(受信機内部の光源)を干渉させ、光の振幅と位相の情報まで含めて光信号を電気信号として取り込みます。これにより、従来の検波方式よりも受信感度が飛躍的に向上します。

2. 高速デジタル信号処理(DSP)

光ファイバ伝送路を伝播する際に発生する、波形歪み(波長分散、偏波分散)やノイズといった信号劣化要因を、電気信号に変換した後にDSP回路で高精度に補償・除去します。これにより、光信号の長距離伝送における劣化耐性が大幅に向上します。

技術的な優位性

  • 大容量化: 振幅、位相、偏波のすべてを利用する多値変調技術(例: QAM)を用いることで、1つの波長(キャリア)に多くの情報を載せることができ、伝送容量を大幅に増大させます。

  • 長距離化: DSPによる分散や非線形歪みの補償能力が高いため、光増幅器などの設置間隔を広げることが可能になり、特に長距離の基幹網や海底ケーブルなどで効果を発揮します。

  • スペクトル効率の向上: 少ない帯域幅でより多くのデータを伝送できるため、光ファイバの利用効率(周波数利用効率)が向上します。


コヒーレント光トランシーバーの役割と応用

コヒーレント光トランシーバーは、このデジタルコヒーレント技術を実装した送受信一体型のデバイスです。

構成要素

役割

送信部

デジタルデータに基づき、光の振幅、位相、偏波を精密に制御して多値変調信号を生成し、光ファイバに送り出します。

受信部

受信した光信号を局発光と干渉させ、電気信号に変換した後、内蔵されたDSPチップで伝送中の歪みを補償し、元のデジタルデータを復元します。

主な応用分野

コヒーレント光トランシーバーは、その大容量・長距離伝送能力から、広範なネットワーク領域で活用されています。

  • 長距離・基幹ネットワーク(バックボーン): 大陸間・都市間を結ぶ長距離通信網や海底ケーブルシステム。

  • メトロ(都市圏)ネットワーク: 都市内のデータセンター間接続(DCI: Data Center Interconnect)など。近年はプラガブル(着脱可能)な小型モジュール化が進み、適用範囲が拡大しています。

  • データセンター相互接続 (DCI): 大容量のデータを低遅延でやり取りする必要があるデータセンター同士の接続。

  • Beyond 5G/6G: 将来の高速・大容量通信ネットワークの基盤技術としても進化が続けられています。

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