DC/DCコンバーター(特に降圧/Buckコンバーター)の設計は、複雑に見えて実はたった2つの物理法則の式からすべてが始まります。この2式を理解すれば、回路の心臓部であるインダクタ(コイル)の選定ができるようになります。
1. 基礎となる2つの式
設計の出発点は、電圧と電流の関係を示す「ファラデーの電磁誘導の法則」と、電力不変の法則です。
① インダクタの電圧方程式
V = L di/dt
意味: コイルにかかる電圧 は、インダクタンス L と電流の変化率 di/dt に比例します。
設計での役割: スイッチがONの時の電流の増え方(リプル電流)を計算するのに使います。
② 入出力電圧の関係式(デューティ比)
Vout = D x Vin
意味: 出力電圧は、入力電圧にスイッチのON時間比率(デューティ比 )を掛けたものになります。
設計での役割: どのくらいの時間スイッチをONにすべきかを決定します。
2. 設計のステップ:インダクタンスを決める
この2式を組み合わせて、実際に必要なインダクタの値 を求めてみましょう。
手順A:リプル電流(Δ IL)の設定
まず、電流がどれくらい「波打つ」ことを許容するかを決めます。一般的には、最大出力電流の30%前後に設定するのが定石です。
手順B:式の変形
式①を について解き、スイッチON時の状態に当てはめます。
V = Vin - Vout (コイルにかかる電圧)
dt = D / f (ON時間:f はスイッチング周波数)
di =Δ IL (リプル電流)
これらを代入すると、以下の設計式が導かれます。
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3. なぜこの2式が重要なのか?
小型化のヒント: 式を見ると、周波数 f を大きくすれば、インダクタ L は小さくて済むことがわかります。これが「高周波スイッチング=小型化」の理由です。
限界の把握: デューティ比 D が極端に小さい(例:12Vから1Vを作る)場合、スイッチのON時間が短すぎて制御が難しくなることが予測できます。
次のステップ
回路の「骨格」が決まったら、次は「筋肉」にあたるコンデンサの選定や、「脳」にあたるフィードバック制御の設計に移ります。
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