GaN(窒化ガリウム)パワー半導体の電力変換効率を向上させるには、オン抵抗の低減とスイッチング損失の低減の2つが重要です。これらを改善することで、発熱を抑え、より高効率な電力変換が可能になります。
伝導損失(オン抵抗)の低減
GaNはシリコンに比べて電子の移動度が非常に高く、オン状態での抵抗(オン抵抗、)を低くできます。この抵抗が低いほど、電流が流れる際のジュール熱が減少し、伝導損失が低くなります。GaNデバイスのオン抵抗をさらに下げるには、以下の技術が用いられます。
デバイス構造の最適化: GaN HEMT (High Electron Mobility Transistor) の構造を改良し、電流経路を最適化することでオン抵抗を低減します。
高品質なGaN基板の利用: GaNをSiC(炭化ケイ素)やシリコン基板上に成長させるヘテロエピタキシャル成長が一般的ですが、GaN基板そのものにGaNを成長させるホモエピタキシャル成長は、結晶欠陥が少なく、より高品質なデバイスを実現し、オン抵抗をさらに下げることが可能です。
スイッチング損失の低減
GaNは高速でスイッチング(ON/OFF)できるため、スイッチング周波数を高く設定できます。しかし、スイッチング時の損失(スイッチング損失)も無視できません。これを低減するには以下の方法があります。
寄生容量の低減: GaNデバイスの寄生容量(入力容量、出力容量など)は、スイッチング時に充放電することでエネルギーを消費します。この寄生容量を低減するデバイスやパッケージ技術によって、スイッチング損失が大きく改善されます。
高速スイッチング: GaNはシリコンよりも遥かに高速なスイッチングが可能です。これにより、ONからOFF、またはOFFからONへの移行時間が短縮され、この間に発生する損失を最小限に抑えられます。
低インダクタンスパッケージ: パッケージやPCB(プリント基板)の寄生インダクタンスは、高速スイッチング時にリンギングや電圧スパイクを引き起こし、損失を増加させます。低インダクタンスのパッケージや、基板設計の最適化によって、これらの影響を抑えられます。
システムレベルでの効率向上
デバイス単体の性能だけでなく、システム全体での最適化も効率向上に不可欠です。
高周波化: GaNの高速スイッチング特性を活かし、スイッチング周波数を高くすることで、コンデンサやインダクタといった受動部品を小型化できます。これにより、システムの全体サイズや重量が削減されるだけでなく、受動部品での損失も減らせるため、システム全体の効率が向上します。
熱管理の改善: 優れた熱特性を持つGaNデバイスでも、高密度実装では発熱が課題となります。熱抵抗の低いパッケージや、効率的なヒートシンク設計などを組み合わせることで、デバイスの温度上昇を抑え、安定した高効率動作を維持できます。
下記資料では「次世代パワー半導体を理解するためのパワエレ基礎」について動画で詳しく解説されています。
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第10回 パワーデバイスの最新応用例(特にSiCなど次世代パワーデバイスを中心に解説) e)UPS f) インダクション・ヒーター
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第11回 パワーデバイスの最新応用例(特にSiCなど次世代パワーデバイスを中心に解説) g) 急速充電 h) ワイヤレス給電
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第12回(シリーズ最終回) SiCパワー半導体の電気自動車EVへの使用例(走行用インバータ、オンボード充電器を一気に解説)
• ⑫SiCパワー半導体の電気自動車EVへの使用例(走行用インバータ、オンボード充電器を...
【本パワエレ基礎コースの目次】
1.パワーエレクトロニクスの基本の基本編 a)パワー半導体デバイスの種類 次世代パワー半導体の理解を目的に分類し特長を解説 (整流ダイオード、バイポーラトランジスタ、MOSFET、IGBT、GTO) b)そもそも電力変換って、何のために、何をしてるの? 4方式(DCDC、DCAC、ACDC、ACAC)の例を挙げて理解
2.損失の考え方と電力変換の高効率化 a)電力変換とは?その測定例 b)高効率が求められる背景 c)MOSFET損失の簡単な計算例 d)Web回路シミュレーターの活用
3.次世代パワーデバイスの種類と概説 a)Si-IGBTの新構造が続々登場 b)シリコンカーバイド c)窒化ガリウム d)酸化ガリウム e)ダイヤモンド
4.パワーデバイスの最新応用例 (特にSiCなど次世代パワーデバイスを中心に解説) a)PFC回路 b)サーバー、通信 c)太陽光発電 d) 蓄電システム e) UPS f)インダクション・ヒーター g)急速充電 h) ワイヤレス給電 i) 電気自動車への利用(オンボード充電器、トラクションモーター)
5. その他(本シリーズ外で動画公開中+順次新規公開) a)パワーデバイスの市場動向(2,3カ月毎) b)パワーMOSFETの高性能を引き出す設計例 c)新興アプリケーション紹介
--------このチャンネルの目的------------
SiCパワーデバイスの最新技術や特徴を分かりやすく説明したYouTubeチャンネルです。 / @sic-powersemiconductor パワー半導体とは?なんに役立ってるの? 最近よく聞くワイドバンドギャップ・パワー半導体って何? なぜ今、SiC、GaN、酸化ガリウムやダイヤモンドが注目を浴びているの? シリコンのパワー半導体と比べて何が違うの?その特徴と長所は? どんなところ(装置や製品)に使われるの? パワー半導体の旬な情報を丁寧に分かりやすい動画にしてアップしています。 資料のご請求・ご質問がありましたらいつでもご連絡下さい。
出典:SiCパワー半導体推進部

















