DC/DCコンバーターの「脳」にあたるのがフィードバック制御です。出力電圧が目標からズレないよう、常に監視してスイッチのON時間を微調整する仕組みです。
ここでも、設計の核となる「2つの制御方式」と、安定性の指標である「位相余裕」が重要になります。
1. 制御の2大方式:電圧モード vs 電流モード
出力電圧をどうやって一定に保つか、そのアプローチには大きく分けて2種類あります。
① 電圧モード制御(Voltage Mode)
出力電圧のみを監視し、基準電圧と比較してパルス幅(PWM)を変えるシンプルな方式です。
長所: 回路構成が単純でノイズに強い。
短所: 応答が少し遅く、位相補償(安定化)の設計がやや難しい。
② 電流モード制御(Current Mode)
電圧だけでなく、インダクタを流れる電流もリアルタイムで監視する方式です。現在の主流はこちらです。
長所: 負荷が急変しても即座に反応できる。保護回路が組みやすい。
短所: 電流検知のための回路が必要で、ノイズの影響を受けやすい。
2. 安定性の鍵:ボーデ線図と位相余裕
制御が「脳」なら、「位相余裕(Phase Margin)」は脳の「冷静さ」です。もし制御が過敏すぎると、電圧がハンチング(発振)して回路が壊れてしまいます。
設計時にチェックすべきは、ゲインが0dBになる点での位相です。
理想的な位相余裕: 45° 〜 60°
これが足りないと: 出力電圧が激しく上下に揺れ、最悪の場合、部品が焼損します。
3. 「脳」の命令を伝える:MOSFETの選定
コントローラICが決めたタイミングで、実際に大きな電流を切り替えるのがMOSFET(スイッチ)です。ここで見るべきは以下の2点です。
RDS(on)(オン抵抗): スイッチがONの時の抵抗。小さいほど熱が出にくい。
Qg(ゲート電荷量): スイッチを切り替えるのに必要なエネルギー。小さいほど高速にパチパチ動かせます。
設計のまとめ
これでDC/DCコンバーターの主要な3要素。
心臓(L): エネルギーを蓄え、電流の波を抑える。
筋肉(C): 電圧の変動を吸収し、安定させる。
脳(IC/Feedback): 電圧を監視し、スイッチを正確に叩く。
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