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単相3線式連系インバータの自立運転時中性点電圧バランス特性

GLOSSARY

単相3線式(単3)連系インバータが停電時などに「自立運転」を行う際、最も大きな課題となるのが中性点電圧のバランス維持です。

通常、商用系統に接続されているときは系統側が電圧を安定させていますが、自立運転時はインバータ自らがAC200Vの中性点(N相)を固定し、AC100V×2系統を安定させる必要があります。


1. なぜ電圧バランスが崩れるのか(不平衡負荷の影響)

単相3線式では、L1-N間とL2-N間にそれぞれ100Vの負荷が接続されます。両方の負荷が等しければ問題ありませんが、実際には片方の負荷が重くなる「負荷不平衡」が発生します。

  • 電圧変動のメカニズム:

  • 重い負荷がかかっている側の電圧が低下し、軽い負荷側の電圧が上昇します。

  • 中性点電流:

  • 不平衡が生じると、中性線(N相)に電流が流れます。この電流をインバータ側で適切に処理できないと、中性点電位が変動してしまいます。


2. 中性点電圧を安定させる主な方式

インバータが自立運転中に中性点を維持するための代表的な技術は以下の通りです。

① トランス方式(商用周波数トランス)

出力部にトランスを設置し、そのタップから中性線を取り出す物理的な手法です。

  • 特性: 構造が単純で信頼性が高いですが、トランス自体が重く、損失(待機電力)が発生するのが欠点です。

② 電圧平衡化回路(バランサ)

インバータの出力段に、中性点電位を強制的に等しくするアクティブ回路を追加します。

  • 特性: 小型のリアクトルや半導体スイッチで構成され、不平衡電流を相殺するように制御します。

③ 4アーム(または3アーム)インバータ制御

インバータの回路構成自体を工夫し、中性線を直接制御する方式です。

  • 特性: ソフトウェアによる高速なフィードバック制御が可能で、トランスレス化による軽量化に寄与します。


3. 自立運転時のバランス特性評価

性能を評価する際は、以下の指標が重要になります。

評価項目

特性・基準

不平衡耐量

どの程度の負荷差(例:片肺100%負荷)まで電圧精度を維持できるか。

電圧歪み率(THD)

不平衡負荷時に波形がどれだけ綺麗に保たれているか。

応答速度

急激な負荷変動があった際、瞬時に電圧バランスを復帰できるか。


4. 注意点:過電圧による機器保護

バランス特性が悪く、軽負荷側の電圧が異常上昇(例:120V以上など)すると、接続されている家電製品の故障を招く恐れがあります。そのため、自立運転用インバータには厳格な不平衡電圧保護機能が備わっています。

豆知識: 最近の蓄電池システムやV2H(Vehicle to Home)では、このバランス特性を高めるために、高速なデジタル制御を用いた「アクティブ・バランサ」技術が主流となっています。

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