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一相PWM変調方式三相インバータ

GLOSSARY

「一相PWM変調方式」は、別名「二相変調(Two-phase Modulation)」や「不連続PWM(DPWM: Discontinuous PWM)」とも呼ばれる、非常に効率的な制御手法です。

三相インバータ(U, V, W相)のうち、常に一相のスイッチングを休止(固定)させ、残りの二相のみで制御を行うことで、インバータ全体の損失を劇的に減らすことができます。


仕組み:なぜ一相休止できるのか?

三相モータなどを駆動する場合、重要なのは「各相の絶対電圧」ではなく、相間の「電位差(線間電圧)」です。

  • ゼロ相電圧の重畳: 三相の指令値に共通のオフセット電圧(ゼロ相電圧)を加算しても、線間電圧は変化しません。

  • 貼り付き動作: このオフセットを調整し、特定の相の指令値を「上アーム(P側電位)」または「下アーム(N側電位)」に完全に振り切らせます(貼り付けます)。

  • 結果: 貼り付いた相はスイッチングが停止(デューティ100%または0%)し、残りの二相がその分を補うように波形を変化させます。


メリットとデメリット

特徴

詳細

スイッチング損失の低減

スイッチング回数が通常のPWM(三相変調)に比べ、理論上33%(1/3)削減されます。

熱設計の合理化

損失が減るため、ヒートシンクの小型化や、同じ素子でより大きな電流を流すことが可能です。

高電圧利用率

正弦波PWMに比べ、直流バス電圧をより有効に活用でき、出力電圧を約15%高く取れます。

低次高調波の増加

スイッチングのパターンが不連続になるため、低速回転時などに電流の歪み(トルクリップル)が増える傾向があります。


空間ベクトル変調 (SVM) との密接な関係

一相PWM変調は、空間ベクトル変調(SVM)のゼロベクトルの配置を工夫することで実現されます。

  • 三相変調: 1周期の中に V0(全下アームON)と V7(全上アームON)の両方を使用。

  • 二相変調(一相PWM): V0 または V7 のどちらか一方のみを使用するように選択します。


SSTやDABへの応用

これまで議論してきた SST(ソリッドステート・トランス) や DAB の初段(AC-DCコンバータ部分)において、この一相PWMを採用するメリットは絶大です。

  1. 高効率化: 大電力・高電圧を扱うSSTでは、スイッチング損失が最大の敵です。一相PWMで回数を減らすことは、システム全体の変換効率に直結します。

  2. SiCの性能向上: SiCデバイスは高速動作が得意ですが、スイッチング回数を減らせばさらに発熱を抑えられ、空冷システムの簡素化に寄与します。

設計のヒント: 高負荷時は効率優先で「一相PWM(二相変調)」を使い、低負荷時やノイズを嫌う領域では「三相変調」に切り替えるといった、動的な制御アルゴリズムが一般的です。

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