CNT薄膜トランジスタ(TFT)の特性評価において、2ポート・シリーズスルー(Series-Thru)法は、特にデバイスのインピーダンスが高い場合(高抵抗なCNTチャネルなど)に、通常の分圧測定よりも高い精度で特性を抽出できる手法です。
VNA(ベクトル・ネットワーク・アナライザ)を用い、デバイスを信号線に対して直列(Series)に挿入して測定します。
1. シリーズスルー法の原理
通常の反射測定(S11)では、高インピーダンスデバイスはスミスチャートの右端に張り付いてしまい、わずかな校正誤差が大きなインピーダンス誤差につながります。
シリーズスルー法では、透過係数(S21)を中心に解析することで、この問題を回避します。
インピーダンス の算出式
デバイスの直列インピーダンス Zs は、S21 を用いて以下の簡潔な式で表されます(系の特性インピーダンス Z0 = 50Ω の場合)。
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この手法の強みは、S21 が小さい(デバイスの抵抗が高い)領域でも、ダイナミックレンジを広く取れる点にあります。
2. RF-CVへの応用(容量抽出)
シリーズスルー法で得られた から、CNT-TFTのゲート容量成分などを抽出します。
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CNT-TFTをこの方法で測定する場合、ゲート端子を Port 1 に、ドレイン(またはソース)端子を Port 2 に接続し、残りの端子を共通接地(Common)にする構成が一般的です。
3. CNT-TFT測定におけるメリット
高インピーダンスへの感度:
CNTネットワークはオン状態でも数百Ω〜数kΩになることがありますが、シリーズスルー法はこの範囲での測定精度が反射法(S11)より格段に高いです。
ノイズ耐性:
S21 測定はVNAのノイズフロアの影響を受けにくいため、微小なチャネル容量(fFオーダー)の変化を捉えやすくなります。
広帯域性:
AMD RFSoCなどの広帯域な信号処理系を用いる場合でも、数MHzから数GHzまで一貫した理論式でインピーダンスを抽出可能です。
4. 実施時の注意点
バイアス供給の整合性:
Port 1 と Port 2 の両方に Bias Tee が必要です。特に VGS(ゲートバイアス)を Port 1 から、 VDS(ドレインバイアス)を Port 2 から印加する場合、DC経路がデバイスを介して干渉しないよう、グランドの取り方に注意してください。
プロービングの寄生排除:
GSG(Ground-Signal-Ground)プローブを使用する場合、プローブ自体のインダクタンスが Zs に加算されます。
対策: 必ず「素子なし(Throughパターン)」のダミーを測定し、そのインピーダンスを
Zs(measured) - Zs(thru) として差し引くディエンベディングを行ってください。
実装上のアドバイス
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