TSMCの日本における製造子会社「JASM(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing)」が運営する熊本工場は、現在「第1工場」と「第2工場」の2つを中心にプロジェクトが進行しています。
それぞれの「プロセスノード(微細度)」と「主な生産品目(ターゲットアプリケーション)」は以下の通りです。
JASM 第1工場(2024年末より量産開始・稼働中)
第1工場は、日本国内で長らく製造できなかった「20nm以下のロジック半導体」を国内調達可能にすることを主目的として立ち上げられ、すでに安定稼働(2026年Q1には初の黒字化を達成)しています。
プロセスノード:
22nm / 28nm(平面型CMOSプロセス)
12nm / 16nm(FinFET立体トランジスタプロセス)
主な生産品目・用途:
車載用マイコン・SoC: 自動運転、ADAS(先進運転支援システム)、インフォテインメント、ECU(電子制御ユニット)向け。出資元であるデンソーやルネサスエレクトロニクス等へ供給。
イメージセンサー用ロジック回路: ソニー(同工場の隣接地に巨大拠点を持つ)のCMOSイメージセンサーに積層される、高速信号処理用の裏面ロジック半導体。
各種産業機器・コンシューマー向けISP/通信用LSI
JASM 第2工場(建設中・2027年中の量産開始を予定)
第2工場は、第1工場からさらに微細化を進め、より高性能な演算(コンピューティング)能力を必要とする市場に対応します。また、最新の動向(2026年現在)として、AI需要の爆発に対応するため、当初計画よりさらに最先端のプロセス(3nmクラス)の導入検討も報じられています。
プロセスノード(計画):
6nm / 7nm(EUV(極端端紫外線)露光技術を用いた先端FinFETプロセス)
40nm(一部、特殊なアナログ・パワー半導体や車載向け等のレガシー/スペシャルティ・プロセスも混在)
※さらに最新のロードマップでは、AIアクセラレータ向けに3nmプロセスのライン導入に向けた検討・調整も進められています。
主な生産品目・用途:
高性能AIチップ(エッジAI / HPC): 自動運転の高度なAI推論チップ、データセンター向けの補助プロセッサなど。
次世代イメージセンサー用ISP: ソニー等との協業による、さらに高解像度・高速な次世代カメラ用チップ。
先進的なグラフィックス・通信プロセッサ
まとめ:熊本工場のプロセス・品目一覧
工場 | プロセスノード | 主なトランジスタ構造 | 主な生産品目・ターゲット |
第1工場 (稼働中) | 12nm / 16nm / 22nm / 28nm | 平面CMOS / FinFET | 車載マイコン、ADAS、ソニー製イメージセンサー用ロジック、産業用SoC |
第2工場 (2027年予定) | 6nm / 7nm / 40nm (一部3nmの導入も検討中) | 先端FinFET(EUV使用) / Specialty | 高性能エッジAIプロセッサ、次世代車載中央制御SoC、超高速イメージプロセッサ |
日本の半導体エコシステムへの影響
TSMC熊本の最大の特徴は、たんなる「最先端の追求」だけでなく、日本の強みである「自動車(デンソー・トヨタ)」と「イメージセンサー(ソニー)」という巨大な実需出口に直結した品目を、日本国内のサプライチェーン内で完結して製造できる点にあります。
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