AMD(Xilinx)のFPGAでTSNを実装する場合、主に 「TSN Endpoint Ethernet MAC」 というIPコアを使用します。この設定は、VivadoのIP CatalogからカスタマイズGUIを開いて行いますが、28Gbpsクラスの高速通信やLPDDR4の帯域設計と整合させるための重要なチェックポイントがいくつかあります。
1. Vivado IPコンフィギュレーションの主要項目
VivadoのGUI上で設定する際、特に「Qbv(スケジューリング)」に関連する項目は以下の通りです。
① General Tab(基本設定)
Endpoint Type: 1G / 2.5G / 10G(またはそれ以上)を選択します。
Interface Selection: 通常、内部バスは AXI4-Stream を使用します。LPDDR4からDMA(Direct Memory Access)経由でデータを流し込む際のメインパイプラインとなります。
Number of Queues: 802.1Qbvで制御する優先度キューの数を指定します(最大8)。
② TSN Features Tab(機能有効化)
Time-Aware Shaper (802.1Qbv): ここをチェックすることで、GCL(Gate Control List)のハードウェア・ロジックが有効になります。
Precision Time Protocol (802.1AS): 時刻同期機能を有効にします。GCLはこのPTP時刻と完全に同期して動作します。
2. GCL(Gate Control List)の初期値埋め込み
VivadoのGUI上、またはIPの生成後に「GCLプログラミング用インターフェース」を介して設定します。
Static Configuration: IPのプロパティ設定で、テキスト形式または16進数のリストとしてGCLエントリを記述します。
例:0x01_0000C350 (ゲート1のみ開放、期間50,000ns)
Dynamic Configuration (AXI-Lite): 運用中に設定を変更する場合、FPGA内部のプロセッサ(Cortex-A53等)から AXI-Lite バス経由でIP内部のレジスタ(GCL RAM)を書き換えます。
3. LPDDR4帯域とFIFOしきい値の調整
28Gbps/56Gbps I/Oで取り込んだデータをTSNで送出する際、Vivadoの設定で最も注意すべきは 「バッファサイズ(FIFO)」 です。
TX/RX FIFO Depth: GCLによって「送信ゲートが閉じている時間」が長い場合、その間にLPDDR4から読み出されたデータがIP内部のFIFOに溜まります。
計算: (ゲート閉時間) × (AXIバスの供給レート) 以上の容量を確保しないと、バス側でバックプレッシャー(転送停止)がかかり、LPDDR4の読み出し効率が低下します。
PFC (Priority-based Flow Control): 必要に応じて802.1Qbb(PFC)を有効にし、バッファ溢れを防ぐフィードバック制御を組み込みます。
4. デバッグツールの活用
設定したGCLが正しく動作しているかは、Vivadoの ILA (Integrated Logic Analyzer) で波形を観測するのが確実です。
観測ポイント:
tx_gate_open_status: 各キューのゲートが開いているかを示す信号。
ptp_time_counter: ナノ秒単位の時刻カウンタ。
これらを並べて表示し、意図した Time Interval(例えば50,000ns)で信号が変化しているかを実機確認します。
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