測定器のカテゴリとは
測定器のCAT(Measurement Category:測定カテゴリ)は、IEC 61010(JIS C 1010)で定められた「どのような電気環境で安全に測定できるか」を表す安全規格です。多くの方が「耐電圧の違い」と思われますが、実際には過渡過電圧(サージ)や短絡時のエネルギーに対する安全性を示しています。
CATとは何か?
例えば100 Vの回路でも、
電子基板上の100 V
家庭用コンセントの100 V
分電盤内の100 V
では危険性が全く異なります。
これは落雷や開閉サージなどによって発生する瞬間的な数kV~数十kVの過渡電圧や、事故時に流れる短絡電流が異なるためです。
そのため測定器には
CAT I
CAT II
CAT III
CAT IV
という区分が設けられています。数字が大きいほど、より厳しい電気環境で使用できます。
CAT I(電子回路)
電子機器内部や絶縁された二次回路の測定
使用例
オシロスコープで電子基板を測定
DC電源の出力
バッテリー
センサー信号
マイコン回路
ACアダプタの二次側
つまり、
商用電源から絶縁された回路が対象です。商用電源に接続された直流電源に接続されている回路など。
代表例
FPGA
Arduino
オペアンプ回路
USB回路
スイッチング電源二次側
オシロスコープの一般的な測定は、多くがCAT Iです。
CAT II(コンセント側)
コンセントから電源を取る機器のコンセント側の回路
使用例
家電製品の電源回路
テレビの電源回路
延長コード
コンセント
つまりプラグで接続される機器です。例として壁コンセントこれらはCAT IIになりす。
CAT III(固定設備)
ここから危険度が一気に高くなります。対象は建物に固定された配電設備です。
使用例
分電盤
ブレーカー
配線
バスバー
モーター
インバータ
工場設備
制御盤
このあたりはCAT IIIになります。短絡事故では数千A~数万Aもの電流が流れる可能性があり、測定器には非常に高い耐サージ性能が求められます。
CAT IV(受電設備)
最も危険なカテゴリです。建物に電力が入ってくる部分になります。
使用例
電力量計
引込線
主幹ブレーカー一次側
電柱からの受電
キュービクル
この部分では雷サージや大電流事故の影響を最も受けます。
カテゴリの数字が大きくなるほど、
サージエネルギー
短絡電流
危険性
が大きくなります。
CAT III 600 V と CAT II 1000 V はどちらが安全?
非常によくある疑問です。実はCAT III 600 V の方が危険な環境で使用できます。
例えば
表示 | 使用可能場所 |
CAT II 1000 V | コンセント・家電 |
CAT III 600 V | 分電盤・制御盤 |
600 Vと1000 Vは連続印加できる最大電圧であり、CATはサージ耐性や故障時の安全性を示します。そのため、「1000 V」と書かれていてもCAT IIであれば分電盤では使用できません。
オシロスコープでは特に注意
一般的なベンチトップオシロスコープは、BNC外側(グランド)が保護接地(PE)に接続されています。
そのため、
電子回路(CAT I) → 問題なし
家電の二次側 → 条件次第で可
分電盤 → 不適切
三相200 V制御盤 → 差動プローブなど適切な方法が必要
という使い分けが必要です。
高電圧差動プローブが必要になるのは、このようなCAT II~CAT III環境で、接地されていない(フローティング)電位差を安全に測定するためです。
まとめ
カテゴリ | 主な測定対象 | 代表例 |
CAT I | 電子回路 | 基板、バッテリー、信号回路 |
CAT II | コンセント負荷 | 家電、PC、電動工具 |
CAT III | 固定設備 | 分電盤、制御盤、モーター、配線 |
CAT IV | 受電設備 | 電力量計、引込線、キュービクル |
測定器を選ぶ際は、測定対象のCAT以上の定格を持つ測定器・プローブを使用することが重要です。また、プローブやテストリードも測定器本体と同等以上のCAT定格である必要があります。










