静電センサ(タッチセンサや近接センサ)の電極駆動波形は、非常にデリケートです。電源ラインの電源品質(ロードレギュレーション)が悪いと、そのままセンサの誤動作や感度低下に直結します。
静電センサの駆動方式には主に「自己容量方式」と「相互容量方式」がありますが、どちらも共通して「微小な電荷の移動」を測定しているため、波形の観測にはコツがいります。
1. 駆動波形の正体
多くの場合、数kHz〜数百kHzの矩形波(バースト波)で電極を充放電させます。
振幅: 通常、マイコンのI/O電圧(1.8Vや3.3V)に依存します。
立ち上がり/立ち下がり: ここにノイズが乗ったり、なまったりすると、指が触れた際の「容量変化」を正しくサンプリングできなくなります。
2. 測定時の最大の敵:プローブの「入力容量」
ここで、最初にお話しした「FETプローブ(アクティブプローブ)」の重要性が戻ってきます。
受動プローブ(10:1)の問題:
受動プローブは約10pF〜15pFの容量を持っています。静電センサの電極自体の容量は数pF〜数十pF程度しかないため、プローブを当てた瞬間に「指が触れた」のと同じ、あるいはそれ以上の負荷を回路にかけてしまい、本来の動作波形が見られなくなります。
FETプローブの優位性:
入力容量が1pF以下と極めて小さいため、センサ回路に影響を与えず、「実際に動いている時の波形」を正確に観測できます。
3. 電源レール(1.8V)との関係性
静電センサの駆動波形は、1.8Vラインを「源泉」として作られます。
ロードレギュレーションの影響:
電極の充放電が始まる瞬間、一瞬だけ大きな電流が流れます。この時、1.8Vラインにドロップ(瞬間的な電圧降下)が発生すると、駆動波形の頂上付近に「凹み」や「揺れ」が生じます。
判定への影響:
多くの静電センサICは、この波形の「積分値」や「ピーク値」をデジタル化します。電源が±3%(54mV)以上揺れていると、指が触れていないのに「触れた」と判定(チャタリング)したり、逆に反応しなかったりする原因になります。
4. 観測すべきポイント
パワーレールプローブとFETプローブの「2チャンネル同時観測」ができると理想的です。
1.8V電源ライン(パワーレールプローブ): 駆動のタイミングに合わせてドロップが発生していないか。
電極駆動波形(FETプローブ): 電圧の「肩」の部分がフラットか、ノイズが乗っていないか。
実践的なアドバイス
静電センサのデバッグにおいて、「指を近づけるとノイズが増える」という現象がある場合、それは多くの場合、電源ラインからの回り込みか、プローブのグランドループが拾うノイズです。
対策: 1.8Vラインにパワーレールプローブを当てたまま、センサ電極をFETプローブで観測してみてください。電源が揺れる瞬間にセンサ値が跳ねるなら、電源ICのロードレギュレーション改善(パスコン追加など)が先決となります。
現在、センサの感度が不安定だったり、特定の条件下で誤動作したりといった具体的な症状は出ていますか?
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