Ceyear社 4082シリーズ シグナル・スペクトラムアナライザ ~110GHz

mid-band spectrum (FR3)とは、第6世代移動通信システム(6G)において、高速・大容量通信を実現するために活用が期待されているアッパーミッドバンド(中高周波数帯)の周波数帯域、すなわち Frequency Range 3 (FR3) のことを指します。

この帯域は、7.125 GHzから24.25 GHzの範囲(センチメートル波領域)を主にカバーすることが提案されています。


 

FR3の定義と位置づけ

 

移動通信システムにおける周波数帯は、5Gの規格(3GPP)で以下のように分類されていますが、6Gに向けて新たなFR3が議論されています。

周波数帯域 呼称 周波数範囲(目安) 特徴と役割
FR1 (Lower Mid-band) サブ6(6 GHz以下)

410 MHz ~

7.125 GHz

広いカバレッジ、浸透性に優れ、ベースとなる通信層。
FR2 (High-band) ミリ波 (mmWave)

24.25 GHz ~

71.0 GHz

超高速・大容量。到達距離が短く、直進性が高い。
FR3 (Upper Mid-band) センチメートル波

7.125 GHz ~

24.25 GHz

FR1とFR2の特性を兼ね備える

FR3は、FR1とFR2の間に位置し、それぞれの利点(カバレッジと大容量)をバランス良く提供することが期待される、6Gの主力帯域の一つとして位置づけられています。


 

6GにおけるFR3の重要性とメリット

 

 

1. 帯域幅の確保と容量拡大

 

FR3帯域は、FR1よりもはるかに広い帯域幅(例:事業者あたり$400 \text{ MHz}$以上)を確保できる可能性があります。これにより、6Gが目指す$\text{100 Gbps}$級の超高速通信を実現するための鍵となります。

 

2. カバレッジと速度のバランス

 

FR3は、ミリ波(FR2)ほど減衰が大きくないため、FR2よりも広いエリアをカバーできます。同時に、FR1よりも高い周波数であるため、FR1よりも高速な通信を提供できます。これは、「どこでも $\text{Gbps}$レベルのサービス提供」という6Gの目標達成に不可欠です。

 

3. 高度な技術の活用

 

FR3の利用には、以下のような技術の進化が不可欠です。

  • MIMO (Multiple-Input Multiple-Output): 多数のアンテナ(4x4 MIMOなど)を活用し、通信容量を強化します。

  • ビームフォーミング: 電波の指向性を高める技術を使い、電力効率を向上させ、到達距離の課題を克服します。

FR3は、6Gが実現を目指す「超高速大容量化」や「エリアカバー率の向上」に貢献する、技術開発の最前線にある重要な周波数帯域です。