URLLCを実現するための重要な技術である「多重接続」と「ショートTTI」の仕組みについて詳しくご説明します。
これらは主に、URLLCが要求する**「超高信頼性 (Ultra-Reliable)」と「超低遅延 (Low Latency)」**をそれぞれ達成するために導入された技術です。
1. 多重接続 (Multi-Connectivity) の仕組み:超高信頼性を実現
「多重接続」は、特に超高信頼性を確保するために重要な技術です。
概念
端末(UE: User Equipment)が、単一の基地局だけでなく、同時に複数の基地局やセルと接続し、同じデータを送受信することで、通信の冗長性を高める仕組みです。
動作原理
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デュアルコネクティビティ (Dual Connectivity / Multi-Connectivity):
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端末は、異なる基地局(セル)と同時に接続を確立します。
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例えば、データ通信の主経路となるマスターセルと、補助的な経路となるセカンダリセルの2つと同時に接続します。
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データ複製と並列送信:
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重要なデータ(URLLCトラフィック)は、マスターセルとセカンダリセルの両方から同時に端末へ送信されます(または、端末から両方のセルへ同時に送信されます)。
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これは、同じデータを複数の経路でコピーして送る「複製(Duplication)」と呼ばれます。
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冗長性の確保:
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もし、電波状況の変化(例:遮蔽物による瞬断)や、一方の基地局側の障害などにより、いずれかの経路でデータが失われたとしても、もう一方の経路のデータが端末に届けば通信は成功と見なされます。
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これにより、通信の失敗確率が劇的に低下し、URLLCが求める99.999%レベルの信頼性が実現されます。
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URLLCにおける多重接続のメリット
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信頼性向上: 瞬時の電波環境悪化や基地局の負荷集中を回避し、通信の途絶を防ぎます。
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遅延の安定化: 最も早くデータが届いた経路が採用されるため、実効的な遅延のバラつき(ジッタ)が抑制され、応答時間が安定します。
2. ショートTTI (Short TTI) の仕組み:超低遅延を実現
「ショートTTI」は、主に超低遅延を実現するために、5G NR(New Radio)で導入された技術です。
概念
TTI(Transmission Time Interval)とは、無線リソースを割り当て、データを送受信する際の最小の時間単位のことです。ショートTTIは、この時間単位を従来の4G(LTE)よりも大幅に短縮します。
動作原理
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LTE (4G) の場合: 従来のLTEのTTIは通常**1ミリ秒 (ms)**でした。データは基本的にこの1msの単位で処理・送受信されます。
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5G NR (URLLC) の場合:
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5G NRでは、TTIを短縮するための柔軟なフレーム構造が導入されています。
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従来の1msよりも短い、**0.5msや0.25ms(最小で約7シンボル分)**といった極めて短い時間単位でデータを送信できるように設定されます。
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これを一般に「ショートTTI」と呼びます。
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URLLCにおけるショートTTIのメリット
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伝送時間の短縮:
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データを無線区間で送るのに要する時間(TTI)そのものが短くなるため、単純に伝送遅延が減少します。
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待ち時間の短縮:
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端末がデータを送信したい場合、従来の長いTTIの開始を待つ必要がなく、すぐに短いTTIの開始に合わせてデータを送り出すことができます。これにより、待ち時間(スケジューリング遅延)が大幅に削減されます。
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再送応答の迅速化:
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通信エラーが発生し、データを再送する必要がある場合、再送の要求と再送データの送信を短いTTIのサイクルで行えるため、エラー回復までの時間が短縮されます。
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このように、URLLCは多重接続で通信の「失敗」を許容せず、ショートTTIで通信の「時間」そのものを短縮するという、両面からのアプローチによって、ミッションクリティカルな要件を満たしています。
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