チップレット搭載のFC-BGA基板において、世界シェアを独占し、事実上の業界標準となっているのが**「味の素ビルドアップフィルム(ABF)」**です。
調味料の「味の素」で知られる味の素グループ(味の素ファインテクノ)が開発したこの材料は、チップレット構造の進化を支える「縁の下の力持ち」と言えます。
1. 味の素ビルドアップフィルム(ABF)とは?
ABFは、ICチップとプリント基板を繋ぐ「層間絶縁材料」です。
従来の基板(リジッド基板)は、液体状の絶縁材を塗って乾かす方式が主流でしたが、ABFは「フィルム状」にすることで、半導体の高度な要求に応えました。
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形状: フィルム状(厚さ数μm〜数十μm)
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役割: 銅配線の各層を絶縁し、多層構造を支える。
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特性: 熱膨張しにくく、微細な穴(ビア)を開けやすく、表面が極めて平坦。
2. なぜチップレット時代に「ABF」が不可欠なのか?
チップレット構造では、基板が巨大化し、配線密度が極限まで高まります。ABFが選ばれる理由は主に3つあります。
① 超微細配線への対応(高解像度)
チップレット間を繋ぐ配線は、従来の基板よりも遥かに細いもの(L/S = 数μm単位)が求められます。ABFは表面が非常に平坦かつ滑らかであるため、レーザーで非常に小さな穴をあけたり、微細な銅配線を焼き付けたりするのに最適です。
② 基板の「反り」の制御
100mm角を超えるような巨大なFC-BGA基板では、熱を加えた際の「反り」が致命的な欠陥となります。ABFは熱膨張係数(CTE)が低く抑えられており、シリコンチップと基板の熱膨張差による歪みを最小限に抑えることができます。
③ 加工のしやすさと信頼性
フィルム状であるため、積層プロセス(ビルドアップ工法)を自動化しやすく、歩留まりを高めることができます。また、厳しい温度変化の中でも絶縁性能が劣化しにくいという高い信頼性を持っています。
3. 次世代チップレット向けの進化
チップレット構造のさらなる高度化に向け、味の素は新型のABFを開発し続けています。
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低誘電損失(Low Dk/Df): 5G/6GやAI向けの高速信号(高周波)が通る際、信号が減衰しないような材料特性が求められています。
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高放熱性: 密集するチップレットの熱を効率よく逃がすため、熱伝導率を高めた絶縁材の開発が進んでいます。
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ガラスコア基板への対応: 現在、プラスチック(有機)芯材から、より剛性が高く平坦な「ガラス芯材(Glass Core Substrate)」への移行がIntelなどで進められていますが、ABFはその上でも主要な絶縁材料として活用され続けています。
4. 業界におけるポジション
味の素のABFは、ハイエンドCPUやGPU(NVIDIA, AMD, Intelなど)向け基板において**世界シェアほぼ100%**と言われるほど圧倒的です。
「味の素が供給を止めれば、世界のコンピューティングが止まる」と言われるのは、このためです。
まとめ
傳田先生が提唱された「実装が半導体の付加価値を決める」という考えは、まさにABFのような材料工学の進化によって具現化されています。
出典:Google Gemini
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