「感度が不安定」という問題において、**PSRR(Power Supply Rejection Ratio)**は非常に重要なキーワードです。
これは日本語で「電源電圧変動除去比」と呼ばれ、**「電源ライン(1.8V)に乗ったノイズが、どれだけ出力信号(センサの測定値)に漏れ出してしまうか」**という耐性を表す指標です。
1. PSRRとは何か?
理想的なセンサICであれば、電源が1.81Vになろうが1.79Vになろうが、センサの出力値は変わらないはずです。しかし、現実には電源の揺れが内部回路を通り抜け、センサの測定値に「偽の信号」として混入してしまいます。
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PSRRが高い(良い): 電源が揺れても、センサ出力は安定している。
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PSRRが低い(悪い): 1.8Vラインのわずかなドロップやリップルが、そのまま「指が触れた」ような変化として検出されてしまう。
2. なぜ静電センサでPSRRが問題になるのか
静電センサは、電極に溜まった「微小な電荷」を電圧として読み取ります。
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計算式: $Q(電荷) = C(静電容量) \times V(電圧)$
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この式の「V」は、多くの場合1.8Vラインから作られます。つまり、電源電圧 V が±3%揺れると、指が触れていなくても電荷 Q が3%変化したように見えてしまうのです。これが「感度の不安定」の正体です。
3. パワーレールプローブを使ったPSRRの検証
パワーレールプローブを使えば、PSRRに起因する不具合かどうかを「目視」で確認できます。
検証の手順
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同期の確認:
オシロスコープのCh1に1.8Vライン(パワーレールプローブ)、Ch2にセンサのデジタル出力(または生波形)を表示します。
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相関を見る:
1.8Vラインが「ガクッ」とドロップした瞬間、センサの出力値にノイズが乗ったり、カウント値が跳ねたりしていませんか?
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因果関係の特定:
もし1.8Vのドロップとセンサ値の跳ねが完全に同期しているなら、それはセンサの不具合ではなく、電源のロードレギュレーション不足(=PSRRの限界)です。
4. PSRR不足への対策(感度を安定させるために)
もし1.8Vラインの±3%の変動が原因でセンサが不安定になっているなら、以下の3つのアプローチがあります。
| 対策 | 内容 |
| 電源のクリーン化 | パワーレールプローブで見えた「ドロップ」を、パスコンの増設や電源ICの変更で54mVよりもさらに小さく抑える。 |
| LDOの挿入 | DC-DCコンバータの1.8Vを直接使わず、高PSRRなLDO(リニアレギュレータ)を一段挟んで、ノイズを「掃除」してからセンサに入れる。 |
| ソフトウェア処理 | センサIC側で「電源電圧補正機能」があれば有効にする。または、デジタルフィルタ(平均化処理)を強くする。 |
まとめ:デバッグの指針
「感度が不安定」な時、闇雲にセンサのしきい値を調整する前に、**「その不安定さは、1.8Vラインの揺れと同期しているか?」**をパワーレールプローブで確認するのが最も近道です。
もし「同期している」のであれば、直すべきはセンサの設定ではなく、**電源回路(ロードレギュレーション)**ということになります。
今の状況として、特定の動作(他のICが動く、LEDが点灯するなど)をした時に、1.8Vのドロップと同時にセンサが誤作動するような兆候は見られますか?
出典:Google Gemini
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