10Gリンクが確立された後、通信が安定しているかを判断する最も重要な指標が SQI (Signal Quality Indicator) です。
IEEE 802.3ch (10GBASE-T1) において、SQIは単なる「信号の強さ」ではなく、受信機側のイコライザやエコーキャンセラ適用後の SNR(信号対雑音比) をベースにした指標であり、通信の「余裕度(マージン)」をリアルタイムで示します。
1. SQIの定義とスケール
10GBASE-T1では、OPEN Allianceの規定に基づき、通常 0〜7 の8段階で表されます。
| SQI値 | 状態 | 通信品質の目安 |
| 7 | Excellent | 非常に高いSNRマージン。エラー発生のリスクが極めて低い。 |
| 6〜5 | Good | 安定した通信。車載環境のノイズ下でも十分に動作可能。 |
| 4〜2 | Marginal | 通信は維持されているが、外部ノイズによりリンクダウンするリスクあり。 |
| 1〜0 | Poor / Fail | リンク維持が困難、またはビット誤り(BER)が多発している状態。 |
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MSE (Mean Square Error) との相関: チップ内部では「スライサ」での誤差(理想的なPAM4レベルからのズレ)を MSE として計算し、それをSQI値に変換して出力します。
2. チップ別 SQI の取得方法(MDIOレジスタ)
SQIは、PHYチップ内部の特定の管理レジスタを MDIO(Management Data Input/Output) 経由で読み出すことで取得します。
Marvell 88Q4364 (Brightlane) の例
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レジスタ: ベンダー固有の診断レジスタ(通常、Device 3, Address 0x8000 番台など)に格納されています。
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確認方法: Linux環境であれば
ethtool -S eth0コマンドで、統計情報(phy_sqi等の項目)として表示されるようドライバで実装されていることが多いです。
MotorComm YT8011 の例
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レジスタ:
DCQ (Dynamic Channel Quality)レジスタ(例:Address 0x01FE 前後)に、現在のMSE値とSQI値が格納されます。 -
特徴: 中国メーカーのチップは、詳細な MSE(9bit値など) を直接読み出せるように設計されていることが多く、VNAの測定結果との相関を細かく追うデバッグに適しています。
3. VNA測定結果との相関(デバッグの指針)
10Gリンク確立後にSQIが低い(例:SQI=2)場合、VNAの4ポート測定結果を以下のように見直します。
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挿入損失 (SDD21):
5.625 GHz(ナイキスト周波数)付近で急激な落ち込みがないか。ケーブルの折れやコネクタ(H-MTD/HFM)の接触不良が疑われます。
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モード変換損失 (SCD21 / SDC21):
SQIの低下は、外部ノイズよりも「ペア間の不平衡」による自滅が原因であることが多いです。VNAでSCD21が規格のリミットラインを超えている場合、それがSQIを押し下げています。
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リターンロス (SDD11) と TDR:
HFM-2.92mm変換部で 100Ω から大きく外れる(例:85Ω以下)と、多重反射が発生し、チップ内のエコーキャンセラで取りきれないノイズとなりSQIが悪化します。
4. 評価自動化への応用
コンプライアンステストの現場では、VNAでの静的な試験(電源OFF時)だけでなく、「稼働中のSQIモニタリング」 を組み合わせるのがトレンドです。
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手順:
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Pythonスクリプト等で
mdio-toolを叩き、1秒ごとにSQIをログ取得。 -
ケーブルを揺らしたり、周囲にノイズ源を近づけたりした際のSQIの変動を観測。
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リンクダウン直前のSQI値を特定し、システムの閾値(マージン設計)に反映。
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次のステップとして
お手持ちのボード(MotorComm YT8011 等)から 実際にレジスタ値を読み出すための具体的な mdio コマンド や、Pythonでの自動取得スクリプトのサンプル について、必要であれば提示いたしましょうか?
Hardware Debugging: How to Read, Write & Poll PHY Registers
この動画では、MDIOを使用してPHYレジスタを読み書きする具体的な手順が解説されており、10GBASE-T1チップからSQI値を取得する際の実務的な参考になります。
出典:Google Gemini (Gemini は AI であり、間違えることがあります。)
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