総務省の情報通信審議会 情報通信技術分科会 電波利用環境委員会において、CISPR 16-1-1(EMIレシーバ等の仕様)の国内導入や改正の審議は、測定技術の公平性を担保する極めて重要なプロセスです。
特に2024年から2025年にかけては、最新のCISPR 16-1-1:2019/AMD2:2023(第5.2版)等を踏まえた国内答申が議論されており、iNARTE等の専門資格においてもその変更点は頻出事項となります。
電波利用環境委員会におけるCISPR 16-1-1関連の主な論点は以下の通りです。
1. 測定器の仕様規定と「FFTベース」の高度化
近年、委員会で最も議論されているのが、FFT(高速フーリエ変換)を用いたタイムドメイン・スキャンの取り扱いです。
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従来の方式: スーパーヘテロダイン方式で周波数を一歩ずつ掃引(ステップ・スキャン)。
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FFT方式: 広い帯域を一度にキャプチャして瞬時に処理。
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委員会の判断: 測定時間の劇的な短縮を認める一方で、従来のQP(準尖頭値)検波器との等価性を担保するための仕様(窓関数の重なり、滞留時間など)が16-1-1の規定に基づき国内技術基準に盛り込まれています。
2. APD(振幅確率分布)測定法の導入
特にデジタル通信(5GやWi-Fi 6E/7など)への妨害を評価するため、従来の検波方式だけでは不十分という議論があります。
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APD法: 妨害波があるレベルを超える時間の割合(確率)を測定する手法。
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16-1-1の役割: APD測定機能を持つレシーバが備えるべきダイナミックレンジやサンプリングレートの仕様を規定しています。
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委員会動向: 電子レンジ(CISPR 11)などの非意図的放射が通信に与える影響をより正確に評価するため、このAPD法の活用範囲を広げる検討が行われています。
3. 検波器(Detector)の定義と技術基準
CISPR 16-1-1で定義されている各検波器の「時定数」や「インパルス応答」は、日本の電波法における「指定試験機関」の設備要件に直結します。
| 検波器 | CISPR 16-1-1における重要仕様 | 国内運用でのポイント |
| QP (Quasi-Peak) | 充電・放電時定数、計器の時定数(機械的応答のシミュレーション) | 繰り返し周波数が低いノイズへの感度。 |
| C-Average | デジタル処理による平均値化(Linear Average) | 変調波の平均電力評価に必須。 |
| RMS-Average | 実行値と平均値の組み合わせ | パルス状ノイズの通信への影響評価。 |
4. 委員会資料に見る「不確かさ」への影響
CISPR 16-1-1で規定される**レシーバの振幅精度(±1.0dB〜2.0dB以内等)**は、前述のCISPR 16-4-2(不確かさ)の計算の初手となる「入力データ」です。
電波利用環境委員会では、新しい測定器(例えばより広帯域なもの)を認可する際、その機器が16-1-1の仕様を満たしているか、それによって測定の不確かさが許容範囲($U_{cispr}$)に収まるかを技術的に精査します。
実務・試験への示唆
もし、現在4.5GHz帯などの高周波DUTを扱われているのであれば、委員会で議論されている「1GHz超の測定におけるレシーバのノイズフロア規定」や「プリアンプ使用時の直線性」などの16-1-1最新動向は、システム全体の不確かさバジェットを組む上で避けて通れない要素となります。
特にiNARTE試験では、「CISPR 16-1-1で規定されているBand C(30-300MHz)とBand D(300MHz-1GHz)の6dB帯域幅(120kHz)」といった数値そのものを問う問題も多いため、委員会資料に目を通すことは実務的な背景理解に非常に有効です。
出典:Google Gemini (Gemini は AI であり、間違えることがあります。)
参考:総務省 令和7年11月26日(水)
情報通信審議会 情報通信技術分科会 電波利用環境委員会(第66回)配付資料
資料66-3-2 電波利用環境委員会報告(案)(CISPR 16-1-1、16-1-4、16-2-3及び16-4-2)PDF
資料66-3-3 電波利用環境委員会報告(案)別添1(CISPR 16-1-1)PDF
資料66-3-4 電波利用環境委員会報告(案)別添2(CISPR 16-1-4)PDF
資料66-3-5 電波利用環境委員会報告(案)別添3(CISPR 16-2-3)PDF
資料66-3-6 電波利用環境委員会報告(案)別添4(CISPR 16-4-2)PDF
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