SMPS (Switched-Mode Power Supply)においてCRスナバーが「常に抵抗でエネルギーを消費する」のに対し、RCDスナバー(Resistor-Capacitor-Diode Snubber)は、ダイオードを追加することで「サージの吸収」と「エネルギーの放出」の経路を分ける回路です。

主にフライバックコンバータなどの絶縁型電源や、大電力のスイッチング回路で、効率を落とさずに高いサージ電圧を抑制するために使われます。


1. 回路構成と動作の仕組み

RCDスナバーは、スイッチング素子(FET等)に並列、あるいはトランスの一次巻線に並列に配置されます。

① 吸収フェーズ(スイッチOFF時)

  • スイッチがOFFになると、寄生インダクタンスやトランスの漏れインダクタンス(リーケージインダクタンス)によって高いサージ電圧が発生します。

  • このとき、ダイオードが導通し、サージエネルギーをコンデンサ(C)へ急速に充電します。

  • ダイオードがあるおかげで、抵抗(R)をバイパスして低いインピーダンスでサージをキャッチできるため、電圧の跳ね上がりを強力に抑えられます。

② 放出フェーズ(スイッチON時)

  • スイッチが再びONになると、コンデンサに蓄えられた電荷は抵抗(R)を通じてゆっくりと放電されます。

  • ダイオードが逆阻止状態になるため、コンデンサの電荷がスイッチ(FET)側に一気に流れ込んで過大な電流(スパイク電流)が流れるのを防ぎます。


2. CRスナバーとの違い

特徴 CRスナバー RCDスナバー
主な用途 小電力、高周波のリンギング抑制 中〜大電力、クランプ目的(フライバック等)
効率 低い(Rで常に電力を消費) 高い(放電時のみRを通る)
部品点数 2点 (R, C) 3点 (R, C, D)
設計の難易度 比較的容易 ダイオードのリカバリ特性等も考慮が必要

3. 設計・選定のポイント

RCDスナバーの性能は、追加されたダイオードの特性に大きく左右されます。

  • ダイオードの速度 (Trr):

    スイッチング周波数が高いため、高速なファストリカバリダイオード (FRD) や、さらに高速なウルトラファストリカバリ、あるいはショットキーバリアダイオード (SBD) が選ばれます。リカバリが遅いと、ダイオード自体が発熱したり、スナバーとしての効果が失われます。

  • コンデンサの電圧定格:

    サージ電圧をクランプするため、回路の動作電圧よりも十分に高い耐圧が必要です。

  • 抵抗の損失計算:

    コンデンサに蓄えられるエネルギー P = C V2 f/2 (Vはクランプ電圧)がすべて抵抗で熱になります。この損失に耐えられる定格電力の抵抗を選定します。


4. なぜフライバック回路で多用されるのか?

フライバックコンバータでは、トランスの一次側と二次側が完全に結合していないため、どうしても「漏れインダクタンス」が残ります。このエネルギーは二次側に伝わらず、一次側のスイッチ(FET)を破壊しようと暴れます。

RCDスナバーはこの漏れインダクタンスのエネルギーを「クランプ電圧」として一定に保つ能力に長けているため、電源設計のエンジニアにとって非常にポピュラーな回路となっています。

iNARTEなどの試験対策や実務においても、EMC対策として「どのタイミングでノイズが出ているか(OFF時かON時か)」を見極める際に、RCDスナバーの各素子の挙動を理解しておくことは非常に役立ちます。

 

 

 

 

出典:Google Gemini (Gemini は AI であり、間違えることがあります。)

 

 

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