Si5351Aは、元々はSilicon Labs社(現在はSkyworks Solutions社)が開発した、I2C制御の高精度プログラマブル・クロックジェネレータICです。

自作高周波回路やアマチュア無線(SDRやトランシーバーの局発)、実験用信号源の界隈では「なくてはならない超定番デバイス」として広く普及しています。秋月電子で販売されているモジュールも、このICをブレッドボードで使いやすいピンピッチに落とし込んだものです。

Si5351Aが選ばれる理由と特徴

74HC4046のような従来のアナログPLL回路と比較すると、システムとしての「手軽さ」と「性能」が劇的に進化しています。

 
秋月電子等で入手できるSi5351A実装モジュールの例(AI 生成) 秋月電子等で入手できるSi5351A実装モジュールの例. ソース: スイッチサイエンス

 

  1. 外付けのLC回路が一切不要

    • 面倒なバリキャップの選定や、インダクタ(L)の巻き直し、ループフィルタの定数計算がすべて不要です。基板上の25MHz(または27MHz)の水晶振動子を基準に、ICの内部で完結します。

  2. 3チャネルの完全独立出力

    • 1つのチップから、それぞれ異なる周波数の信号を最大3系統(CLK0, CLK1, CLK2)同時に出力できます。

  3. 驚異的な広帯域

    • 8 kHz 〜 160 MHz(設定によっては200MHz近くまで)の、きわめて正確な矩形波を $0\text{ Hz}$ ステップ(実質的に任意)で生成可能です。

  4. グリッチレスな周波数変更

    • 動作中にマイコンから周波数を書き換えても、出力波形が途切れたり異常なパルス(グリッチ)を出したりせずに、スムーズに遷移させることができます。

 

 

内部はどうなっている?(動作の仕組み)

Si5351Aの内部ブロックを見ると、PLL技術の高度な応用例であることがよく分かります。

 
Si5351A(3出力版)の内部アーキテクチャ(AI 生成)

Si5351A(3出力版)の内部アーキテクチャ.

ソース: jr3tgs-homebrew.net

 

 

内部は大きく分けて「PLL部」「MultiSynth(分数分周器)部」の2段階構成になっています。

  • ステップ1(PLLで一気に高周波へ):

    内蔵されている2つの独立した高周波PLL(PLLA, PLLB)を使い、外部の25MHz水晶から一気に 600MHz 〜 900MHz の非常に高い中間周波数(VCO周波数)を作り出します。

  • ステップ2(MultiSynthで細かく割り算):

    Silicon Labs社独自の特許技術である「MultiSynth」という分数分周器が、その600〜900MHzの信号を「小数点の付いた数字(例:32.4567分の一)」で高精度に割り算します。このおかげで、どんな中途半端な周波数でもピタッと狙い通りに出力できます。

 

 

具体的な動かし方(用法)

実機で評価・使用する場合、ArduinoやRaspberry Pi Pico(RP2040)、ESP32などの汎用マイコンをI2Cで接続して制御します。

1. ハードウェアの接続

接続は非常にシンプルで、最低4本のワイヤで完結します。

  • VIN / VDD: 3.3V(IC自体は3.3V駆動です。モジュールにレギュレータが乗っている場合は5Vも可)

  • GND: グランド

  • SDA / SCL: マイコンのI2Cピンへ接続(4.7 kΩ程度で3.3Vにプルアップ)

  • CLK0, 1, 2: ここからお目当ての高周波信号(3.3Vp-pの矩形波)が出てきます。

2. ソフトウェア(Arduinoでの実装例)

自力でレジスタを叩くのは計算が非常に複雑ですが、AdafruitやEtherkitが開発した非常に優秀なライブラリが公開されているため、コードは数行で済みます。

C++
 
#include <Wire.h>
#include <si5351.h>

Si5351 si5351;

void setup(){
  // Si5351Aの初期化(25MHzの水晶を使用している場合)
  si5351.init(SI5351_CRYSTAL_LOAD_10PF, 0, 0);

  // CLK0から「10.000000 MHz」を出力させる
  // 第2引数の「0」は、内部でPLLAを使用することを明示
  si5351.set_freq(1000000000ULL, SI5351_CLK0); 
  
  // 出力を有効化
  si5351.output_enable(SI5351_CLK0, 1);
}

void loop(){
  // 稼働中はマイコンの処理を止めたり、別の処理をさせても発振は維持されます
}

set_freq に渡す値が 1000000000ULL のように巨大なのは、ライブラリ内部で「0.01Hz単位」の超高分解能で計算を行うため、周波数を100倍した値を指定する仕様(ULLは64bit整数型)になっているからです。

 

 

 

実験・評価時の注意点

  • 出力波形は「矩形波(スクエアウェーブ)」

    LC発振回路(コルピッツ等)の出力は綺麗なサイン波(正弦波)ですが、Si5351Aの出力はデジタル的な矩形波です。そのため、奇数次の高調波(3倍、5倍、7倍の周波数成分)を多く含んでいます。もし高周波の無線実験などでピュアなシングル・トーンが必要な場合は、出力の直後にLPF(ローパスフィルタ)を1段挿入して高調波をカットして使用します。

  • 出力インピーダンス

    IC直出力のインピーダンスは高周波標準の $50\ \Omega$ ではなく、数マイル程度のドライブ能力(レジスタで2mA, 4mA, 6mA, 8mAと可変可能)を持ったデジタル出力です。$50\ \Omega$ 系の測定器(スペアナ等)に直接繋ぐ場合は、アッテネータ(減衰器)を挟むか、インピーダンス整合を意識するとより綺麗な波形が観測できます。

このSi5351Aを使って、具体的にどのようなターゲット周波数を出そうとされていますか?もし必要であれば、出力側のフィルタ(LPF)の構成や、より詳細なマイコン制御アルゴリズムについても掘り下げられます。

 

 

 

出典:Google Gemini (Gemini は AI であり、間違えることがあります。)

 

 

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