「スペアナが内部でどう信号を処理しているか(周波数変換や復調の思想)」、3つの視点に分けて整理しました。

1. 本来の「検波(ディテクタ)」の視点

スペアナの検波器(Peak、RMS、Sampleなど)がやっているのは、分解能帯域幅(RBW)のフィルターを通過してきた中間周波数(IF)信号の「包絡線(エンベロープ)」の測定です。

  • アナログ信号として見ると: 伝統的なスペアナの検波は包絡線検波(ダイオード検波)です。これはキャリア(搬送波)のあるAM信号(DSB-WC)の振幅をなぞる動きに近く、SSB信号のようにキャリアがない信号の「変調中身」を正しく復調することはできません(単にその瞬間のバースト的な電力を測るだけになります)。

2. 「周波数変換(ミキシング)」の視点

もし、入力信号をLO(ローカル信号)と混ぜてIFに落とすプロセスをイメージされている場合です。

  • ミキサ自体は、入力信号に対して上側と下側の両方のサイドバンド(和と差の周波数:DSB的な挙動)を生み出します。

  • しかし、スペアナは「イメージサプレスフィルター」などを使って、不要な片方のイメージを完全にカットし、測定したいターゲットの帯域だけを狙い撃ちしてIFへ送ります。この「片側だけを通過させる」という意味では、挙動としてはSSB的(単側波帯的)に信号を選別していると言えます。

3. 近年の「直交検波(IQ復調)」の視点

最近のデジタルIFを搭載したシグナル・アナライザ(リアルタイム・スペアナなど)の場合です。

  • IFに落とした後、A/Dコンバータでデジタル化し、内部で直交検波(IQデモジュレーション)を行います。

  • これはセンター周波数に対してプラス側(実軸)とマイナス側(虚軸)の複素信号としてキャプチャするため、中心から見た両側波帯(DSB的)な情報をすべて保持したままデジタル処理(FFTなど)に回します。これにより、位相情報も含めたベクトル解析が可能になっています。

まとめ

単に画面にスペクトラム波形を表示するための「検波モード」としては、DSB/SSBという概念ではなく**「エネルギー(包絡線・パワー)の抽出」**です。ただし、内部の周波数変換ではイメージを排除(SSB的)し、近年のデジタル処理部ではIQ複素信号として両側(DSB的)を保持している、というのがRFアーキテクチャの裏側になります。

 

 

 

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