マルチメーターとは

マルチメーター(Multimeter)とは、1台で複数の電気的な値(電圧・電流・抵抗など)を測定できる測定器です。「デジタルテスター」「DMM(Digital Multimeter)」とも呼ばれ、電子工作から工業用途まで幅広く使われています。


主な測定機能

測定項目 説明
直流電圧(DCV) 電池や回路の直流電圧を測定
交流電圧(ACV) コンセントなどの交流電圧を測定
直流電流(DCA) 回路内の電流を測定(直流)
交流電流(ACA) モーターなどの交流電流を測定(※機種による)
抵抗(Ω) 抵抗値、導通確認に使用
導通チェック 抵抗が非常に低いときにブザー音で知らせる
ダイオードテスト 半導体部品の極性や劣化チェックが可能
静電容量・周波数・温度 上位機種で対応。用途に応じて選定可能

アナログ式とデジタル式の違い

項目 アナログ式 デジタル式(DMM)
表示方法 針が動く 数値で表示
視認性 慣れが必要 誰でも読み取りやすい
応答速度 高速 安定しているがやや遅い場合も
現在の主流 減少傾向 主流(家庭・業務用どちらも)

マルチメーターの使い方(基本)

  1. レンジと測定モードを設定
     自動レンジ機能がある場合は自動設定も可能。手動機の場合は、測定対象の大きさに応じたレンジを選ぶ。

  2. 赤・黒のテストリードを接続
     通常、赤が「+」、黒が「COM(共通端子)」。誤接続は故障の原因になるため注意。

  3. 測定対象にプローブをあてる
     対象の部品や回路にプローブをあて、数値を確認。導通チェック時はブザーが鳴れば回路がつながっている証拠。


注意点と安全対策

  • 測定中にレンジやモードを切り替えない(特に電流測定)

  • 高電圧・高電流回路では定格を超えないように注意

  • 電流測定時は直列接続、電圧測定時は並列接続が原則

  • **CAT(測定カテゴリ)**表示を確認し、用途に合った安全性を選ぶ


測定カテゴリ(CAT)とは?

CAT分類 主な用途例
CAT I 電子機器内部などの低電圧測定
CAT II 家庭用電源の測定(コンセントなど)
CAT III 分電盤や建物内部配線の測定
CAT IV 屋外配線や高エネルギー回路の測定(電柱など)

まとめ

マルチメーターは、電圧・電流・抵抗など複数の電気量を1台で測定できる便利なツールです。正しいモード設定と安全な使用方法を理解しておけば、初心者でも気軽に使うことができます。電子工作から保守点検、開発・製造現場に至るまで、あらゆる電気測定の基本となる計測器です。