分解能(Resolution)とは

~測定器が識別・表示できる最小単位の変化量~


■ 定義

**分解能(Resolution)**とは、測定器や表示装置が検出・区別できる最小の変化量(ステップ)を指します。
測定対象の値がわずかに変化したときに、その変化を認識して表示できるかどうかを決定する重要な指標です。


■ 分解能の種類

分類 内容
✅ 電圧分解能 / 電流分解能 電圧・電流測定で識別できる最小ステップ(例:1μV, 10nA)
✅ 時間分解能 オシロスコープなどで波形の時間軸を刻める最小単位(例:1ns/div)
✅ 周波数分解能 スペクトラムアナライザで周波数を判別できる最小間隔(RBW)
✅ 表示分解能 デジタル表示器が画面上に表示できる最小桁数(例:6½桁など)
✅ データ分解能(ビット分解能) A/D変換のビット数に依存(例:12bit, 16bit, 24bit)

■ 分解能と精度の違い

項目 分解能(Resolution) 精度(Accuracy)
意味 どれだけ細かく区別できるか 表示された値が真値にどれだけ近いか
0.001V単位で変化が見える 実際の値が0.995Vでも1.000Vと表示される可能性

※ 分解能が高くても、精度が悪ければ意味がない場面もあります。


■ 測定機器における分解能の例

測定器 分解能の対象
✅ デジタルマルチメータ 電圧・電流・抵抗 6½桁表示 → 約1μVまで表示可能
✅ オシロスコープ 垂直軸(電圧)、水平軸(時間) 1mV/div, 1ns/div
✅ LCRメーター / CV測定器 静電容量・誘電率 0.01pF, 10^-4精度で変化表示
✅ スペクトラムアナライザ 周波数 RBW = 1Hz(狭帯域で高分解能)
✅ 電子負荷装置 電流設定ステップ 1μA単位でロード可能

■ 分解能が重要な応用例

応用分野 説明
✅ 微小信号の測定 センサ出力、電源ノイズ、リーク電流などの観測
✅ 高分解能ADC評価 A/Dコンバータの性能測定における必須条件
✅ 材料評価 誘電率や磁気特性の微細な変化を検出
✅ ナノテク・MEMS 小電流・微小容量の測定に対応する分解能が求められる

■ まとめ

項目 内容
分解能とは? 測定器が検出・表示できる最小の変化単位
関連項目 精度(Accuracy)、感度(Sensitivity)
ビット数との関係 分解能 = 測定レンジ ÷ (2^n − 1)(n:ビット数)
使用上の注意 高分解能 = 高精度とは限らない(ノイズ・誤差に注意)

T&Mコーポレーションでは、12bit/16bit高分解能オシロスコープや、μV/μA単位の計測が可能なLCRメーター、インピーダンスアナライザなど、高分解能対応機器を多数取り揃えております。
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