結論から言うと、リアルタイム・スペクトラム・アナライザ(RTSA)でも、窓関数(ウィンドウ)の影響で低周波に盛り上がりが出るメカニズムは全く同じです。
ただし、オシロスコープのFFT機能とRTSAでは、「信号を画面にどう切り出して(キャプチャして)処理しているか」の前提が少し異なるため、見え方や対策が少し変わってきます。
RTSA特有の挙動を含めて解説します。
なぜRTSAでも同じ現象が起きるのか?
RTSAも内部ではデジタル信号処理(A/D変換の後にFFT)を行っています。
もし、単発のステップパルス(またはインパルス)がRTSAの1回のFFT処理区間(フレーム)の中にポンと入ってきた場合、そこにハニング窓が適用されれば、時間波形はオシロの時と全く同じように「山型」に歪みます。そのため、0Hz(DC)付近のメインローブの広がり(通常の2倍の広さ)と波形の歪みによって、低周波に不自然な盛り上がり(アーティファクト)が発生します。
オシロFFTとRTSAの「見え方」の違い
RTSA特有の機能や動作によって、オシロとは以下の点が異なります。
1. 信号が切り出される「位置」が毎フレーム変わる(時間位置の不確定性)
オシロのFFTは通常、トリガー位置を基準に「常にパルスが画面の同じ位置(例えば中央)」にくるように固定してFFTをかけられます。
しかしRTSAは、時間を一定のフレーム長で連続的に隙間なく(あるいはオーバーラップさせながら)切り出してFFTを計算し続けます。
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パルスが窓関数の中央(感度が高い場所)に落ちたとき: 最も強く低周波の盛り上がりやスペクトルが出ます。
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パルスが窓関数の端(感度がゼロに近い場所)に落ちたとき: パルスそのものが窓関数によって消し去られ、スペクトルが小さくなります。
このため、RTSAの通常の連続掃引モードで単発パルスを見ると、低周波の盛り上がり方がフレームごとにブレたり、ピークホールドをかけると最大の歪みを含んだスペクトルが残ることになります。
2. 「DPX(デジタル・フォスファ)」や「密度表示」での見え方
RTSAの強みである高頻度なFFT(DPX表示など)で見ると、その低周波の盛り上がりが「モワモワとしたノイズのような分布(あるいは頻度の低い残像)」として視覚的に観測されることが多いです。
RTSAでステップパルスを正しく測定するには?
RTSAでパルスや過渡応答の正しいスペクトルを得たい場合は、オシロと同様の割り切りや、RTSAならではの機能を使う必要があります。
対策1:窓関数を「Kaiser-Bessel(カイザー・ベッセル)」や「Uniform(矩形窓)」にする
RTSAのデフォルトは通常、ハニング窓やブラックマン・ハリス窓など、連続波(CW)の測定に適した窓関数になっています。
設定メニューから窓関数を Uniform(ユニフォーム:矩形窓のこと) に変更すれば、時間領域での波形の歪みがなくなり、低周波の余計な盛り上がりは消え、パルス本来のフラットなスペクトル(sin(x)/x 特性)が見えるようになります。
対策2:タイム・クオリファイ・トリガ(Time Qualified Trigger)やブロック・キャプチャを使う
多くのRTSAには、パルスが特定のフレームの「狙った位置」にきたときだけキャプチャするトリガ機能や、大容量メモリに時間波形を一度録音し、後からFFTをかける範囲をユーザーが手動でシビアに指定できる機能(IQキャプチャ/分析モード)があります。
これを使って、パルス波形全体が「Uniform窓」の中にきれいに収まるように切り出すのが、RTSAでの最も正確な過渡パルス解析の手順になります。
出典:Google Gemini (Gemini は AI であり、間違えることがあります。)
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