スマート・パワー・ステージ(SPS:Smart Power Stage)は、従来のDrMOSをベースに、高精度な電流・温度センシング機能(テレメトリ)と各種自己保護機能を内蔵させ、電源システム全体での高度なデジタル制御(PMBus等)を可能にした最先端のパワー・ステージ・コンポーネントです。
サーバー、データセンターのAIアクセラレータ、車載ADAS用高性能SoCなど、「超低電圧(1V以下)」「超大電流(数百A〜1000A超)」「マルチフェーズ(多相)」が要求されるミッションクリティカルな電源回路において、事実上の業界標準(デファクトスタンダード)となっています。
1. DrMOS から SPS への進化:何が変わったのか?
最大の突破口は、電源コントローラ(PMICなど)に頼っていた各種監視・保護機能を、「電流が流れているまさにその場所(パワー段のダイ上)」で完結・インテリジェント化させた点にあります。
| 機能・特性 | 従来のDrMOS | スマート・パワー・ステージ(SPS) |
| 電流検出方式 | インダクタのDCR(直流抵抗)を利用 | MOSFET内蔵の電流ミラー(IMON) |
| 電流検出精度 | 悪い(±5%〜10%以上、温度でドリフト) | 極めて高い(±1%〜2%以内、全温度域) |
| 温度監視 | 外部サーミスタ(NTC)を基板に配置 | ダイ内部の温度センサ(TMON) |
| 保護機能の応答 | コントローラ経由のため遅延あり | SPS内部で数ナノ秒で高速遮断(OCP/OTP) |
| フォールト出力 | なし(または単純な信号線1本) | 詳細なステータス出力(Faultフラグ) |
2. SPSを構成するコア技術
① 高精度電流モニタリング(IMON)
従来のマルチフェーズ電源で使われていた「DCRセンシング」は、インダクタの銅線抵抗を利用するため、温度上昇に伴って抵抗値が変化(約+0.4%/℃)し、電流の測定値が大きく歪むという欠点がありました。
SPSでは、ハイサイド/ローサイドMOSFETのFETセルの一部を電流検出用の微小ミラー素子として割り当て、ダイ内部で温度補正を掛けた上で、電流に比例したアナログ電圧(または電流)を IMONピン から出力します。
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マルチフェーズの電流均等化(バランシング): 12フェーズや16フェーズといった超多相構成において、各相の電流を±1%クラスの精度で完全に均等化できます。特定のフェーズへの電流集中(ホットスポット)を防ぎ、システム全体の寿命を延ばします。
② ダイ温度モニタリング(TMON)
MOSFETが埋め込まれているシリコン・ジャンクションそのものの温度をダイレクトに測定し、TMONピン から出力(例: $8\text{ mV/}^\circ\text{C}$ のリニア電圧)します。
基板上にサーミスタを置く従来方式のような「熱伝導の遅延」がないため、負荷が急変した際の急激な温度上昇をリアルタイムに捉えることができます。
③ 高速サイクル・バイ・サイクル過電流保護(OCP)
コントローラ(PMIC)を介さずに、SPS内部のロジックがIMONの値を常に監視しています。万が一、出力ショートなどで過電流を検知した場合、コントローラからのPWM信号を無視して、自律的に数ナノ秒でMOSFETをシャ断します。これにより、高価なSoCや周辺部品が巻き添えで破壊されるのを防ぎます。
3. システムレベルでのメリット:アクティブ・フェーズ・ドロップ
SPSの高精度なIMON/TMONデータは、PMBusなどのディジタル通信ラインを通じてメインの電源コントローラ(PMIC)へフィードバックされます。これにより、負荷に応じたフェーズ数の動的制御(アクティブ・フェーズ・ドロップ)が可能になります。
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重負荷時(SoCがフル稼働): 全フェーズ(例:8フェーズ)をすべてONにし、SPS全体のオン抵抗を極小化して大電流を支える。
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軽負荷時(SoCがアイドル状態): 1〜2フェーズだけを残して残りのSPSのスイッチングを完全に停止(ドロップ)させる。
SPSは内部損失(ゲートチャージ損失や駆動損失)が正確に把握できるため、コントローラは「今、何フェーズで動かすのが最も高効率か」を高い精度で計算・最適化できます。これにより、サーバーの待機電力削減や、EVの電費向上に大きく貢献します。
4. 主要なパッケージ技術と熱設計
SPSは、1パッケージあたり 70A〜100Aクラス の連続許容電流を持つものが登場しています。これほど小型のパッケージ(一般に $5\text{mm} \times 6\text{mm}$ 程度のQFN)で大電流を流せるのは、内部構造に銅クリップ(Copper Clip)技術が使われているためです。
従来の細いアルミワイヤボンディングを排除し、大電流ラインを分厚い銅の板で直接リードフレームに接続することで、電気抵抗(オン抵抗)と同時に熱抵抗($R_{\theta \mathrm{JC}}$, $R_{\theta \mathrm{JB}}$)を極限まで引き下げています。 設計時には、このSPSの底面サーマルパッドから基板の内層(多層銅箔)へいかに効率よく熱を逃がすか(サーマルビアの配置設計)が、SPSの性能を100%引き出すための鍵となります。
出典:Google Gemini (Gemini は AI であり、間違えることがあります。)
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