GaN(窒化ガリウム)を用いたショットキーバリアダイオード(SBD)は、従来のSi(シリコン)やSiC(炭化ケイ素)と比較して、極めて低いオン抵抗($R_{\mathrm{on}}$)を実現できるのが最大の強みです。
GaN SBDのオン抵抗がなぜ低いのか、その理由と物理的なメカニズム、SiCとの違いについて解説します。
1. GaN SBDのオン抵抗が圧倒的に低い理由
GaNデバイスのオン抵抗(特に単位面積当たりの特定オン抵抗 Ron,sp)を決定づけるのは、GaNという材料が持つ高い絶縁破壊電界(Ec)と高い電子移動度(μ)の組み合わせです。
理論上、パワー半導体の一方向導通領域(ドリフト層)の特定オン抵抗は、以下の関係式で表されます。
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GaNはSiに比べてEcが約10倍高いため、同じ耐圧(VB)を設計する場合、ドリフト層の厚みを10分の1に薄くし、かつ不純物ドーピング濃度を100倍近く高く導電性を上げることができます。 これにより、オン抵抗が劇的に低減します。
2. 縦型(Vertical)と横型(Lateral)によるオン抵抗の特性
GaN SBDには、構造によってオン抵抗の性質やターゲットとする電圧帯が異なります。
① 横型(AlGaN/GaN HEMT共存型)構造
現在市場で主流のコンシューマ向け(ACアダプタ等)や通信用基板で使われる構造です。
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2次元電子ガス(2DEG)の利用: AlGaNとGaNのヘテロ接合界面に発生する2DEGを利用します。この領域の電子移動度(μ)は 1500 ~ 2000 cm2/V・s と非常に高く、シート抵抗が極めて低くなります。
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特徴: 低耐圧〜中耐圧(数百Vクラス)において、驚異的な低オン抵抗と超高速スイッチング(ゼロ逆回復電荷 Qrr)を両立します。
② 縦型(Vertical)構造
研究開発および高電圧パワーエレクロニクス(EVの800Vシステムや産業用インバータ)向けに本命視されている構造です。
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基板全体で電流を流す: 縦型にすることで、高耐圧(1200V以上)にしても横型のようにチップ面積を無駄に広げる必要がありません。
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特徴: バルクGaN基板の高品質化に伴い、SiCを超える低オン抵抗な高耐圧SBD(1.2kV〜3.3kV帯)の実現が進んでいます。
3. GaN SBD vs SiC SBD オン抵抗の比較
同じワイドバンドギャップ(WBG)半導体であるSiC(炭化ケイ素)のSBDと比較した場合、GaN SBDには以下の優位性があります。
| 特性 | GaN(窒化ガリウム) | 4H-SiC(炭化ケイ素) | 備考 |
| 絶縁破壊電界 (Ec) | ~ 3.3 MV/cm | ~ 3.0 MV/cm | ややGaNが優位 |
| 電子移動度 (μ) |
~ 1000 (縦型) / ~ 2000 (2DEG) |
~ 900 cm2/V・s | GaN(特に横型2DEG)が圧倒的 |
| オン抵抗(同耐圧比) | 最も低い | 低い(Siの数百分の1) | GaNの方がさらに薄いドリフト層で済む |
| 立ち上がり電圧 (VF) | 低い(約 0.6 ~0.8 V) | やや高い(約 1.0 ~ 1.2 V) | ショットキー障壁の制御による |
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移動度の差が効く: 絶縁破壊電界は同等ですが、電子移動度がGaNの方が高いため、同じ耐圧であればGaN SBDの方がオン抵抗(導通損失)を小さく設計可能です。
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順方向電圧($V_{\mathrm{F}}$)のメリット: GaN SBDはSiC SBDよりも立ち上がり電圧($V_{\mathrm{F}}$)を低く抑えやすいため、軽負荷時から重負荷時まで一貫して低い損失(オン抵抗×電流)を維持できます。
4. オン抵抗における現在の技術的課題
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高電流密度時の発熱(熱抵抗)
横型GaN SBDの場合、サファイアやSi基板上に成長させることが多く、基板の熱伝導率の限界から、大電流を流した際にチャネル温度が上昇し、移動度が低下(オン抵抗が上昇)する現象があります。
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電流コラプス(Current Collapse)現象
高電圧を印加した後にオン抵抗が一時的に増大する現象です。結晶欠陥に電子がトラップされることが原因ですが、近年のプロセス技術(パッシベーション膜の改良やフィールドプレート構造の最適化)により、SBDでも大幅に抑制されてきています。
出典:Google Gemini (Gemini は AI であり、間違えることがあります。)
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