自動車のEMC(電磁両立性)規格において、車内や車両周辺に存在するポータブル無線機(スマートフォン、トランシーバー、スマートキーなど)からの強電界に対する耐性を評価する「近接イミュニティ試験法」は、車両レベル(ISO 11451)部品レベル(ISO 11452)のそれぞれに専用のパートが用意されています。

  • ISO 11451-3:車両全体の試験(車内搭載送信機シミュレーション)

  • ISO 11452-9:車載部品(ECU等)単体の試験(ポータブル無線機からの近接照射)

実務の回路・基板設計や設計検証(DV)段階で「近接イミュニティ試験」を指す場合、多くは部品レベルのISO 11452-9をベースにした評価を意味します。

 

1. 部品レベル:ISO 11452-9(ポータブル無線機からの放射イミュニティ試験)

車内でスマートフォンなどの通信機器が、ECU筐体やワイヤーハーネスの至近距離(数十mm)で使用されるケースを想定した試験です。

 

近接照射イミュニティ試験のセットアップ例(ノイズ研究所資料より).

ソース: 株式会社ノイズ研究所

 

 

主な試験条件と特徴

  • 周波数帯域: 主に 142 MHz から 6 GHz(最新の改訂や各自動車メーカーの独自規格では、5GやWi-Fi 6E/7を見据えた高周波帯・ブロードバンドノイズへの対応が進んでいます)。

  • 照射距離: アンテナとDUT(試験対象機器)またはハーネスとの距離を 50 mm(一部のTEMホーンアンテナなどでは 100 mm)という極めて近い「近傍界(Near-field)」に配置します。

  • 主な2つの試験方法:

    1. セル法(試験方法1): DUTの表面(コネクタ部含む)を正方形のグリッド(セル)に分割し、各セルに対してアンテナを50mmの距離に固定してスポット照射していく方法。

    2. 掃引法(試験方法2): アンテナを規定の高さに維持したまま、DUTの表面全体をロボットアームなどで自動、または手動でスキャン(走査)しながら電磁界を照射する方法。

離隔1mを基本とする通常の放射イミュニティ試験(ISO 11452-2)に比べ、ピンポイントで極めて強い電界(数百V/mレベル)が印加されるため、筐体の隙間やシールドの不連続部、コネクタピンへの直接的な結合が問題になりやすいのが特徴です。

2. 車両レベル:ISO 11451-3(車内搭載送信機シミュレーション)

完成車にすべてのシステムが組み込まれた状態で、車内または車両のごく近くで無線機が動作した際の影響を評価する試験です。

  • 試験の目的: アンテナから放射された電波が、車体構造の隙間をすり抜け、車内配線や複数のECUに同時にどう干渉するかを評価します。システム全体としての冗長性や、車両の挙動への影響(安全機能の誤動作など)を確認します。

  • 評価対象: 運転支援システム(ADAS)、ブレーキ、パワートレインなど、車両の安全性に直結する重要機能(ASIL関連機能)が主なターゲットになります。

車両レベル(11451-3)と部品レベル(11452-9)の比較

項目 車両レベル (ISO 11451-3) 部品レベル (ISO 11452-9)
評価対象 完成車(実車環境) 単体ECU、ワイヤーハーネス
電磁界の性質 車体による反射・遮蔽を含む複合界 アンテナ直近の局所的な強電磁界
主な目的 車両システム全体の誤動作・安全確認 基板、コネクタ、ハーネスの局所的な耐性評価
試験の柔軟性 大型の実車用電波暗室が必要 試作段階での対策や、ロボットによる自動走査が可能

設計対策のポイント:

ISO 11452-9のような近接照射では、特定の配線パターンや、基板上のICに直接ノイズが飛び込むケースが多発します。GNDプレーンの強化、スリットの排除、コネクタ直近でのコモンモードフィルタ(CMF)やコンデンサによるデカップリングなど、局所的な「一歩も引かない」対策が要求されます。

今回は部品レベルのISO 11452-9における具体的な試験セットアップ(アンテナの選定など)や、基板・ハーネスレベルでの具体的なノイズ対策手法など、どのあたりを詳しく掘り下げますか?

 

 

 

出典:Google Gemini (Gemini は AI であり、間違えることがあります。)

 

 

 

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