富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社(FOC)の全株式が、古河電気工業株式会社に譲渡され、子会社化(現:古河ファイテルオプティカルコンポーネンツ株式会社)された主な理由は、両社の技術と製品ポートフォリオの相乗効果を狙い、次世代の光通信市場における競争力を強化することにあります。(2025年4月1日) https://www.ff-opticalcomponents.com/
新社名:古河ファイテルオプティカルコンポーネンツ株式会社 Furukawa FITEL Optical Components Co., Ltd. (FFOC)
これは、光通信業界が800Gbpsや1.2Tbpsといった超高速・大容量時代へと急速に進化する中で、技術の「選択と集中」を行った結果と言えます。
1. 古河電工側の取得理由(強化・補完)
古河電工は、光通信分野における長年の技術蓄積を基盤とし、**「古河電工グループ ビジョン 2030」**のもと、成長領域の強化を図っています。
① FOCの強み技術の獲得
古河電工グループが特に重要視したのは、FOCが持つ以下の技術です。
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ニオブ酸リチウム (LiNbO3) 変調器 (LN Modulator) 技術: FOCは、コヒーレント通信に不可欠な高速・高性能なLN変調器の分野で高い技術力と実績を持っています。
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コヒーレント光デバイスの集積技術: 受信器(ICR)や光集積デバイス(PLC)など、コヒーレント通信に必須の技術群です。
② 製品ポートフォリオの垂直統合と拡充
古河電工はこれまで、光半導体光源(レーザーダイオードモジュール、波長可変光源)や光増幅器といった製品に強みを持っていました。
今回の統合により、FOCの持つ変調器や受信器の技術が加わることで、コヒーレント光デバイスの川上から川下まで一貫したソリューション(光源から変調器、受信器まで)を一社で提供できるようになります。
2. 富士通側の売却理由(事業の「選択と集中」)
富士通は、近年、事業ポートフォリオをITサービスやデジタルソリューション(DX)領域に集中させる戦略を推し進めています。
① コア事業への集中
FOCが属する光コンポーネント事業は、高い技術力を持ちながらも、富士通グループの主要な成長戦略であるサービスソリューション事業とは距離がありました。そのため、事業の非コア化が進み、最もその技術を活かせる企業に事業を譲渡する方針がとられました。
② 既存の連携関係の深化
実は、FOCと古河電工は、株式譲渡の数年前(2021年)から次世代の光通信用集積デバイス開発で既に連携を始めていました。この開発連携を経て、両社の技術的な相性が確認されたことが、最終的な株式取得(M&A)の重要な後押しとなりました。
まとめ
| 企業の視点 | 理由 | 目的 |
| 古河電工 | 技術・製品の補完と統合 | トータルソリューション提供による光通信市場での競争力強化(特にコヒーレント分野)。 |
| 富士通 | 事業の「選択と集中」 | ITサービス/DXに経営資源を集中し、非コア事業を最適なパートナーに委ねる。 |
この統合により、両社は超広帯域(HB-CDM)や低消費電力の光トランシーバ開発を加速し、IOWN構想などの次世代通信インフラにも貢献することを目指しています。
参考:
APNは、IOWN構想が目指す「高速・大容量、低遅延、超低消費電力」な次世代のデジタル社会を実現するための「神経網」の役割を果たします。(NTT・NTTイノベーティブデバイス・NXTEC・古河電工・新光電気)
この動画では、オールフォトニクス・ネットワーク(APN)が従来の通信とどのように異なり、超低遅延や超大容量を実現するのかについて詳しく解説されています。
オールフォトニクスネットワーク(APN)とは? APNの概要をわかりやすくお伝えいたします。
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