アクティブプローブとは?パッシブプローブとの違い

アクティブプローブは、プローブ内部にFETやバッファアンプなどの能動回路を搭載したオシロスコープ用プローブです。広い周波数帯域と小さい入力容量を特長とし、高速デジタル信号や高周波信号の測定に使用されます。

ここでは、アクティブプローブの基本的な仕組み、パッシブプローブとの違い、主な性能、選定方法、使用上の注意点について解説します。

 
 
アクティブプローブとは

アクティブプローブは、プローブ先端付近にFETなどの高入力インピーダンス回路とバッファアンプを内蔵した電圧プローブです。測定した信号をプローブ内部で処理してから、オシロスコープへ伝送します。

プローブ先端に能動回路を配置することで入力容量を小さくできるため、高い周波数においても測定対象への負荷を抑えられます。

主に以下のような測定に使用されます。

・ 高速デジタル回路の信号測定
・ クロック信号やデータ信号の観測
・ 半導体デバイスの評価
・ 信号品質やタイミングの解析
・ ジッタや立上り時間の測定
・ 高インピーダンス回路の測定

 
 
アクティブプローブの動作原理

アクティブプローブでは、プローブ先端に入力された信号をFET入力回路で受け、バッファアンプを通してオシロスコープへ伝送します。

バッファアンプは、測定対象の回路とプローブケーブルを電気的に分離する役割を持っています。これにより、ケーブルやオシロスコープの入力容量が測定ポイントへ直接加わることを抑えられます。

アクティブプローブの内部回路を動作させるには電源が必要です。電源は、専用のプローブインターフェース、外部電源ユニット、USBなどから供給されます。使用できる電源方式は、プローブの機種によって異なります。

 
 
パッシブプローブとの違い

パッシブプローブは、主に抵抗器とコンデンサなどの受動部品で構成されており、外部電源を必要としません。一方、アクティブプローブは内部に能動回路を備えているため、電源供給が必要です。

主な違いは以下の通りです。

・ アクティブプローブは入力容量が小さい
・ アクティブプローブは広い周波数帯域に対応しやすい
・ パッシブプローブは測定可能な電圧範囲が比較的広い
・ パッシブプローブは構造が簡単で扱いやすい
・ アクティブプローブは電源と対応インターフェースが必要
・ アクティブプローブはパッシブプローブより高価な場合が多い
・ アクティブプローブは過電圧や静電気に注意が必要

一般的な低周波測定や比較的高い電圧の測定にはパッシブプローブが適しています。高速信号を高い忠実度で測定する場合や、プローブ負荷を小さくしたい場合にはアクティブプローブが適しています。

 
 
入力容量とプローブ負荷

プローブを測定対象へ接続すると、プローブの入力抵抗と入力容量が回路に加わります。この影響を「プローブ負荷」と呼びます。

周波数が高くなると、入力容量のインピーダンスは低下します。そのため、入力容量が大きいプローブでは、高周波信号の振幅が低下したり、立上り時間が遅くなったりすることがあります。

アクティブプローブは、一般的なパッシブプローブより入力容量が小さく設計されています。このため、高速信号を測定する際の波形変形を抑えやすく、測定対象本来の波形をより忠実に観測できます。

ただし、入力インピーダンスは周波数によって変化するため、直流入力抵抗の数値だけでプローブ負荷を判断することはできません。入力容量を含めた周波数特性を確認する必要があります。

 
 
周波数帯域と立上り時間

アクティブプローブを選定する際は、プローブ単体の帯域幅だけでなく、オシロスコープと組み合わせた測定システム全体の帯域幅を確認します。

プローブの帯域幅がオシロスコープ本体の帯域幅より狭い場合、測定システム全体の帯域幅はプローブによって制限されます。また、オシロスコープとプローブの両方に十分な帯域幅がないと、高速信号の立上り時間を正確に測定できません。

方形波やパルス信号には、基本周波数より高い周波数成分が含まれています。そのため、測定対象の繰り返し周波数だけでなく、信号の立上り時間を考慮して必要な帯域幅を決定することが重要です。

 
 
ダイナミックレンジと最大入力電圧

アクティブプローブには、「ダイナミックレンジ」と「最大入力電圧」が規定されています。この2つは意味が異なるため、区別して確認する必要があります。

ダイナミックレンジは、プローブが正常に測定できる信号振幅の範囲です。入力信号がダイナミックレンジを超えると、プローブ内部のアンプが飽和し、波形がクリップしたり歪んだりします。

最大入力電圧は、プローブを損傷させずに印加できる上限電圧です。最大入力電圧以内であっても、ダイナミックレンジを超えた信号を正確に測定できるとは限りません。

測定前には以下の仕様を確認します。

・ 入力ダイナミックレンジ
・ オフセット範囲
・ 最大非破壊入力電圧
・ 減衰比
・ 測定対象で発生する可能性がある過渡電圧

必要な仕様値は機種によって異なるため、必ず使用するプローブの取扱説明書やデータシートを確認します。

 
 
オフセット機能

アクティブプローブの中には、直流成分を相殺するためのオフセット機能を備えたものがあります。

例えば、大きな直流電圧に重畳した小さな交流信号を測定する場合、オフセット機能を使用して直流成分を測定範囲内で相殺できます。これにより、オシロスコープの垂直感度を上げ、小さな変動成分を拡大して観測できます。

ただし、オフセット範囲とダイナミックレンジは同じではありません。オフセットを設定しても、測定可能な信号振幅が無制限に広がるわけではないため、プローブの仕様を確認する必要があります。

 
 
シングルエンド型と差動型

アクティブプローブには、主にシングルエンド型と差動型があります。

シングルエンド型アクティブプローブは、回路のGNDを基準として1つの測定ポイントの電圧を測定します。高速ロジック信号、クロック信号、半導体デバイスの端子波形などの測定に適しています。

差動型アクティブプローブは、2つの入力端子間の電位差を測定します。差動伝送線路、差動クロック、メモリバス、スイッチング電源などの測定に使用されます。

差動型を使用する場合は、差動入力範囲だけでなく、コモンモード電圧範囲とコモンモード除去比も確認する必要があります。

 
 
アクティブプローブの選定ポイント

アクティブプローブを選定する際は、以下の項目を確認します。

・ 周波数帯域
・ 立上り時間
・ 入力抵抗
・ 入力容量
・ 減衰比
・ ダイナミックレンジ
・ オフセット範囲
・ 最大入力電圧
・ プローブのノイズ
・ シングルエンド型または差動型
・ オシロスコープとの互換性
・ プローブチップや接続アクセサリの種類

特に専用プローブインターフェースを使用する製品は、接続できるオシロスコープのメーカーやシリーズが限定される場合があります。購入前に、プローブとオシロスコープの対応機種を確認することが重要です。

 
 
使用上の注意点

アクティブプローブの入力回路は、パッシブプローブと比べて過電圧や静電気放電の影響を受けやすい場合があります。プローブを測定対象へ接続する前に、予想される信号電圧が最大入力電圧とダイナミックレンジを超えていないことを確認します。

また、高速信号の測定では、プローブ先端とグランド接続をできるだけ短くする必要があります。長いグランドリードを使用すると寄生インダクタンスが増加し、リンギング、オーバーシュート、ノイズなどが発生する原因になります。

プローブチップは小型で精密な構造になっているため、先端へ過度な力を加えないようにします。使用しないときは専用ケースに収納し、静電気、衝撃、湿気などから保護することが重要です。

 
 
まとめ

アクティブプローブは、内部にFETやバッファアンプなどの能動回路を搭載し、広い周波数帯域と小さい入力容量を実現したオシロスコープ用プローブです。高速デジタル信号や高周波信号を、測定対象への負荷を抑えながら観測する用途に適しています。

一方で、ダイナミックレンジや最大入力電圧がパッシブプローブより狭い場合があり、専用電源や対応インターフェースも必要です。正確で安全な測定を行うためには、帯域幅、入力容量、ダイナミックレンジ、オフセット範囲、最大入力電圧、オシロスコープとの互換性を確認し、測定目的に合ったプローブを選定することが重要です。

 
 
T&Mコーポレーション株式会社の取り扱いプローブ

T&Mコーポレーション株式会社では、アクティブプローブ、差動プローブ、高電圧プローブ、高電圧差動プローブ、電流プローブ、ロゴスキーコイル電流プローブ、光アイソレーション差動プローブなど、さまざまな用途に対応したプローブを取り扱っております。

測定対象の電圧・電流、周波数帯域、絶縁性能、使用するオシロスコープなどに応じて、適切なプローブをご提案いたします。プローブの選定、製品仕様、対応機種、お見積りなどについては、T&Mコーポレーション株式会社までお気軽にお問い合わせください。

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