コンデンサやインダクタの損失

 

コンデンサやインダクタは理想素子なら「損失ゼロ」ですが、実際の部品では必ず損失が発生します。インピーダンスアナライザで測定する場合、この損失を表す代表的な指標が ESR、D(損失係数)、Q(品質係数)です。

 

1. まず「損失」とは?

理想的には、

  • コンデンサ → 電気エネルギーを蓄えて返す
  • インダクタ → 磁気エネルギーを蓄えて返す

だけなので、電力を消費しません。

しかし実際には抵抗成分が存在するため、

電気エネルギー → 熱

に変換されます。

これが「損失」です。

 

2. コンデンサの損失

コンデンサには主に次のような損失があります。

① ESR(等価直列抵抗)

実際のコンデンサを簡単に表すと、

理想コンデンサ C + ESR

という直列回路として考えられます。

理想コンデンサ C + ESR


ESRによって

数式


の損失が発生します。

例えば、

  • ESR = 0.1 Ω
  • リップル電流 = 1 A

なら、

数式


となり、コンデンサ自身が0.1 W発熱します。

 

② 誘電体損失

コンデンサ内部の誘電体は完全な絶縁体ではありません。

交流電圧を加えると、誘電体内部でエネルギーが消費されます。

この損失を表す代表的な指標が

D(Dissipation Factor:損失係数)

です。

数式


となります。

一般的には、

数式


と考えることができます。

ここで、

数式


です。

 

3. Q値との関係

コンデンサでは、

数式


という関係があります。

つまり、

状態

D

Q

損失が小さい

小さい

大きい

損失が大きい

大きい

小さい

です。

したがって、

良いコンデンサ=Dが小さい、Qが大きい

と考えることができます。

 

4. インダクタの損失

インダクタも同じように損失があります。

簡単な等価回路では、

理想インダクタ L + ESR

として考えます。

回路図


主な損失は、

① 巻線抵抗による損失

銅線には抵抗があります。

したがって、

数式


による銅損が発生します。

 

② 高周波での損失

周波数が高くなると、

  • 表皮効果
  • 近接効果

によって巻線の実効抵抗が増加します。

そのため、高周波になるほどESRが増える傾向があります。

 

③ コア損

フェライトなどの磁性体を使用したインダクタでは、

  • ヒステリシス損
  • 渦電流損

などのコア損も発生します。

特にスイッチング電源などでは重要です。

 

5. インダクタのDとQ

インダクタの場合は、

数式


です。

インダクタのリアクタンスは、

数式


なので、

数式


となります。

そして、

数式


です。

したがってインダクタでは、

数式


と考えることができます。

 

6. コンデンサとインダクタを比較すると

項目

コンデンサ

インダクタ

理想成分

C

L

リアクタンス

(1/2πfC)

(2πfL)

損失

ESR・誘電体損失など

巻線抵抗・コア損など

D

ESR/

Xc

Q

1/D

1/D

良い部品

Dが小さい

Dが小さい

良い部品

Qが大きい

Qが大きい

 

7. インピーダンスアナライザでは何を見る?

インピーダンスアナライザで測定すると、例えばコンデンサなら、

C → ESR → D → Q

を周波数に対して測定できます。

特に重要なのが、

「周波数が変わると損失がどう変化するか」

です。

例えばコンデンサでは、周波数によってESRが変化します。

インダクタでも同様に、

L、ESR、D、Qの周波数特性

を見ることで、その部品がどの周波数帯で良好に動作するかが分かります。

 

インピーダンスアナライザを用いることで、コンデンサやインダクタのESR, D, Qを測定することが可能です。