インピーダンスアナライザを使った測定の流れ

 

インピーダンスアナライザを使用する前に、一般的なインピーダンスアナライザを用いた測定の流れを理解しておくことは重要です。
一般的なインピーダンスアナライザでの測定の流れは「電源投入 → 測定条件設定 → オープン/ショート補正 → DUT接続 → 測定 → 結果確認」のようになります。

 

1. 一般的なインピーダンスアナライザの測定手順

1) 電源投入・ウォームアップ

1. インピーダンスアナライザの電源をON

2. 必要に応じてウォームアップ
→高精度測定では、メーカー推奨のウォームアップ時間を確保

3. 測定ケーブル・テストフィクスチャを接続

ポイント: 電源投入直後は内部温度が安定していないため、高精度測定ではすぐに測定を開始しない方がよいです。

 

2) 測定対象(DUT)を確認

まず、何を測定するかを確認します。

DUT

主な測定項目

コンデンサ

C、ESR、D、Q、損失係数

インダクタ

L、Q、ESR、D

抵抗

R、インピーダンス

フィルタ

周波数特性、Z、位相

トランス

L、結合、インピーダンス

MOSキャパシタ

C-V、G-V、C-f、G-f

半導体

インピーダンス、容量、損失など

 

3) 測定モード・測定パラメータを設定

次に測定条件を設定します。
代表的には、

  • 測定周波数
  • 測定電圧
  • 測定電流
  • DCバイアス
  • 測定速度
  • 測定レンジ
  • 測定パラメータ

などを設定します。

例えばコンデンサなら、

Cp-D、Cp-Q、ESR

などの表示形式を選択します。

 

4) 測定周波数を設定

単一周波数測定か、周波数掃引測定かを決めます。

単一周波数

1 kHz

↓

C、ESR、Dなどを測定

周波数掃引

100 Hz ~ 1 MHz

↓

周波数を変化

↓

C / ESR / Z / 位相

周波数特性を見る場合は、掃引測定が有効です。

 

5) 測定信号レベルを設定

AC測定信号の電圧または電流を設定します。

例えば、

AC Level = 100 mVrms

などです。

DUTによっては測定信号レベルによって特性が変化するため、「どの電圧・電流で測定したか」が重要になります。

 

6) Open / Short補正を実施

ここはインピーダンスアナライザでは非常に重要です。

DUTを接続する前に、

OPEN補正

測定端子を開放して測定します。

ケーブルや治具などの浮遊容量・漏れの影響を補正します。

SHORT補正

測定端子を短絡して測定します。

ケーブルや治具の残留インピーダンスなどを補正します。

 

7) 必要に応じてLOAD補正

より高精度な測定では、既知の標準器を使ったLOAD補正を行う場合があります。

OPEN

 ↓

SHORT

 ↓

LOAD

 ↓

補正完了

特に広い周波数範囲や高精度測定では重要です。

 

8) DUTを接続

補正が完了したらDUTを接続します。

注意点

  • DUTのリードを短くする
  • 接触抵抗を小さくする
  • 測定端子をしっかり固定する
  • DUTに過大な電圧・電流を加えない

 

9) 測定開始

「Measure」などを押して測定します。

単一周波数なら、

1 kHz → C = 100.2 nF、ESR = 0.15 Ω

のように結果が表示されます。

掃引測定なら、インピーダンスー周波数のようなグラフで確認できます。

 

10) 測定結果を確認

代表的には、

  • Z:インピーダンス
  • θ:位相
  • R:抵抗成分
  • X:リアクタンス
  • C:容量
  • L:インダクタンス
  • ESR
  • D:損失係数
  • Q:品質係数

などを確認します。

例えばコンデンサの場合、

C = 100 nF
ESR = 0.12 Ω
D = 0.0012
Q = 833

などです。

 

11) 必要に応じて測定結果を保存

測定データを、

  • 内部メモリ
  • USBメモリ

などに保存します。

周波数掃引の場合は、周波数-インピーダンス、周波数-位相、周波数-ESRなどのデータを保存すると後から解析できます。

 

2. 全体の流れ(まとめ)

【電源ON】

    ↓

【ウォームアップ】

    ↓

【DUT確認】

    ↓

【測定条件設定】

・周波数

・AC Level

・DC Bias

・測定速度

    ↓

【OPEN補正】

    ↓

【SHORT補正】

    ↓

【LOAD補正】※必要に応じて

    ↓

【DUT接続】

    ↓

【測定開始】

    ↓

【測定結果確認】

・Z

・位相

・C / L

・ESR

・D / Q

    ↓

【周波数掃引・グラフ確認】

    ↓

【データ保存】

    ↓

【測定終了】

 

特に重要なポイント

インピーダンスアナライザの測定では、単に**「DUTをつないで測る」**だけではなく、

① 測定条件 → ② 補正 → ③ DUT接続 → ④ 測定 → ⑤ 結果解析

の順番が重要です。