界面準位密度とは

 

界面準位密度(Interface Trap Density:Dit は、MOSキャパシタを理解するうえで非常に重要な指標です。

一言でいうと、

半導体(Si)と酸化膜(SiO₂)の境界面に、どれだけ「電子を捕まえたり放したりする欠陥」が存在するかを表す量

です。

 

1. 「界面準位」とは?

MOSキャパシタは、

金属(Metal)-酸化膜(Oxide)-半導体(Semiconductor)

という構造です。

界面準位


理想的には、SiとSiO₂の境界はきれいに接続されています。

しかし実際には、境界面には

  • 結晶構造の乱れ
  • ダングリングボンド
  • 酸化膜形成時の欠陥
  • 不純物

などによって、電子が一時的に存在できるエネルギー状態が発生します。

これが界面準位(Interface Trap / Interface State)です。

 

2. 「密度」とは?

Ditは、一般に

数式


という単位で表します。

例えば、

数式


なら、

1 cm²の界面に、エネルギー1 eVあたり約 10^11 個の界面準位が存在する

という意味です。

つまり、

Dit が小さい → 界面がきれい

Dit が大きい → 界面に欠陥が多い

と考えることができます。

 

3. なぜMOSキャパシタの測定で重要なのか?

界面準位があると、MOSFETなどの動作に影響します。

例えば、

界面準位が多い
↓
電子・正孔が捕獲・放出される
↓
電荷の動きが不安定になる
↓
しきい値電圧 (Vth) などに影響
↓
MOSFETの特性が悪化

という関係があります。

そのため、半導体メーカーでは酸化膜・Si界面の品質評価として Ditを測定します。

 

4. コンダクタンス法との関係

界面準位は交流信号に対して、

電子を捕獲 → 放出 → 捕獲 → 放出

を行います。

このときエネルギー損失が発生するため、インピーダンスアナライザで測定するとコンダクタンス (G) として観測できます。

つまり、

MOSキャパシタ

→ AC信号を印加

→ 界面準位が電子を捕獲・放出

→ エネルギー損失

→ コンダクタンス G が発生

→ G の周波数特性を解析

→ 界面準位密度 Dit を推定

という流れです。

 

5. 測定器として考えると

MOSキャパシタの評価としてインピーダンスアナライザを用いることで、

① C-V測定

DCバイアスを変える
↓
MOSキャパシタの容量変化を見る

② G-f測定

周波数を変える
↓
コンダクタンスのピークを見る

③ Dit の評価

Gの周波数特性から
↓
界面準位密度の評価が可能です。