ESR(Equivalent Series Resistance:等価直列抵抗)とD(Dissipation Factor:誘電正、損失係数)

 

1. ESRとは?

理想的なコンデンサは、抵抗成分を持たず、

数式


となります。

しかし、実際のコンデンサには内部抵抗や電極・端子などによる損失があります。これを等価直列抵抗(ESR)として表します。

 

簡単なモデルでは、

理想コンデンサ + 小さな抵抗(ESR)

を直列に接続したものとして考えます。

 

2. ESRがあると何が起こる?

コンデンサに電流が流れると、ESRによって電力が消費されます。

数式


つまり、ESRが大きいほど発熱や損失が大きくなります。

例えば、

  • ESR = 0.1 Ω
  • 電流 = 2 A

なら、

数式

の損失になります。

 

3. インピーダンスアナライザではどう見える?

コンデンサの周波数特性を測定すると、典型的には次のようになります。

コンデンサの周波数特性

 

低周波ではコンデンサのリアクタンスが大きいため、インピーダンスも大きくなります。

周波数を上げると、

インピーダンスが減少し、ある周波数で最小値になります。

この最小付近が**自己共振周波数(SRF)**です。

さらに高い周波数では、コンデンサ内部のESL(等価直列インダクタンス)の影響が大きくなり、インピーダンスが再び上昇します。

 

4. ESRと位相の関係

ESRが小さい理想的なコンデンサでは、位相はほぼ

-90°

です。

一方、ESRが大きくなると抵抗成分が増えるため、位相は−90°から0°側へ近づきます。

したがってインピーダンスアナライザでは、

|Z|、位相、ESR

を同時に見ることで、コンデンサの状態をかなり詳しく評価できます。

 

D(Dissipation Factor:誘電正、損失係数)

Dは、簡単にいうと 「コンデンサがどれくらい電気エネルギーを損失しているか」 を表す値です。

 

1. Dの基本式

コンデンサでは、

数式

と表されるため、tanδ(タンデルタ) と呼ばれることもあります。

理想的なコンデンサなら損失はゼロなので、

D=0

です。

実際のコンデンサにはESRなどの損失があるため、

D>0

になります。

 

2.ESRとの関係

コンデンサのインピーダンスを考えると、DはESRと非常に関係があります。

直列等価回路で考えると、

数式

ここで、

数式

なので、

数式

となります。

例えば、

  • C = 1 µF
  • 周波数 = 1 kHz
  • ESR = 0.1 Ω

なら、

数式

したがって、

数式

つまり D ≈ 0.063 % です。

 

3. Dが小さいほど良い?

基本的には、同じ種類・同じ条件のコンデンサならDが小さいほど損失が少なく、高性能です。

項目

意味

C

静電容量

ESR

等価直列抵抗

D / tanδ

誘電損失・損失係数

Q

品質係数

Q = 1/D

Dとの関係

 

特にインピーダンスアナライザでは、C・D・Q・ESR をセットで見るとコンデンサの状態をかなり詳しく評価できます。